鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

親孝行

業績のよい会社は、従業員の両親を重んじ

ているということをきくことがあります。


例えば、和食レストランを運営する、株式

会社坂東太郎(社長、青谷洋治氏)は、親

孝行を経営理念に掲げています。


ちなみに、週刊ダイヤモンドは、同社の経

営理念について次のように報じています。


(ご参考→ https://goo.gl/ZfkqrH


「当社が親孝行を経営理念に掲げている背

景には、創業間もない頃、青谷社長が受け

た屈辱も影響している。


というのは、当時雇っていた女性アルバイ

トの両親が、ある日突然店にやって来て、

『こんな水商売の店で娘が働くことを許し

た覚えはない!』と言い放ち、青谷社長の

目の前で連れ帰ってしまったのである。


アルバイトとして採用する前に両親から承

諾を取っていたにもかかわらずだ。


それを機会に『すべての従業員の親が、わ

が子を働かせたいと思う会社にしなければ

ならない、また従業員が仕事を通して成長

し親に喜んでもらわなければならない』と

いう思いを強くした。


今でもその考えは変わらず『社員とその両

親が、社員の成長を感じ、その社員の成長

を気づかせることが会社の役割だ』と青谷

社長は言い切る」


従業員はほとんどが成人しており、雇用契

約は法律的には従業員個人と会社の間のも

のであるとはいえ、社会に巣立つまでは両

親が育ててくれたおかげで従業員として迎

え入れることができる訳ですから、会社と

しては従業員の両親を軽んじる訳にはいか

ないということは、容易に理解できます。


そして、前述の青谷社長の例にもあるよう

に、従業員を雇用した後も、両親が安心で

きなければ、従業員自身も仕事に身が入ら

なくなるでしょう。


でも、逆に、会社が従業員の両親を大切に

考えているということが分かれば、従業員

の士気は一段と高まることにもなります。


ちなみに、ドトールコーヒーの創業者の鳥

羽博道さんも、会社を上場させたのは、自

社が無名のままであれば、従業員が結婚披

露宴で、「勤務先のドトールコーヒーって

どういう会社」と来賓に尋ねられて恥ずか

しい思いをさせることになり、それを解消

したかったからとお話されておられます。


また、急速に業容を拡大している、私の知

人のある税理士の方も、事務所に採用を内

定した職員に対しては、入所するまでに、

どんなに遠く離れていても、直接家を訪問

して両親にあいさつに行くことにしている

そうです。


従業員の両親を大切にすることだけが、従

業員を重んじることではありませんが、多

くの会社が従業員の定着率が低いことに悩

んでいる時代にあっては、この両親を重ん

じる姿勢は効果が大きく、かつ、大切だと

改めて感じています。

 

 

 

 

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経営者は常に善い行いをしている

先日、九州大学大学院教授の岩崎勇さんが

ポッドキャスト因果律についてお話しさ

れておられました。


(ご参考→ https://goo.gl/JieERN


因果律は改めて説明するまでもありません

が、善い行いは善い結果を招き、悪い行い

は悪い結果を招くということです。


そこで、岩崎さんは、どんな人も悪い結果

は避けたいはずだから、因果律を信じるの

であれば、悪い行いはしなくなるはずだと

お話されておられます。


私も、因果律は信じているので、岩崎さん

の考えはその通りだと思います。


ただし、この因果律を信じて実践するとき

に難しいことは、善い行いとは何か、悪い

行いとは何かという基準です。


これについて岩崎さんは、松下幸之助さん

の言葉を引用して、その行いが社会に貢献

しているかどうかで判断しましょうと述べ

ておられます。


すなわち、社会に貢献する活動は善い行い

ということです。


これは端的に述べれば、事業活動で利益を

獲得し、その利益で従業員に給料を支払っ

たり、税金を支払ったりすることは社会に

貢献していることであり、善い行いである

ということです。


従って、会社を経営するということは、善

い行いをしていることであり、そのことは

善い結果に結びつくということです。


ただ、割合としては少ないと思いますが、

自社の業績があまりよくない会社の経営者

の方が、行いが善くないから業績がよくな

らないと考えていることがあります。


これは、少し非論理的ですが、善い行いの

結果は直ちに現れないこともあり、自らの

活動と因果律を信じて経営に臨むことが大

切だと私は思っています。


今回の記事の結論は、会社経営者の方は、

自信をもって自社事業の業績向上のための

活動に臨むことが、善い結果を導くという

ことです。

 

 

 

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利益はリスクの裏付け

先日、埼玉県秩父市曹洞宗の寺院、慈眼

寺住職の柴原幸保さんのメールマガジン

拝読しました。


「覚りとは煩悩がなくなることではないん

だな。


煩悩を煩悩のまま受け止めて煩悩をコント

ロールすることなんだ」


私は、この「覚り」の解説を読んでみて、

「覚り」を「優れた経営」に、「煩悩」を

「リスク」に置き換えることができると思

いました。


すなわち、「優れた経営とは、リスクがな

くなることではなく、リスクをリスクのま

ま受け止めて、リスクをコントロールする

こと」とということです。


リスクは危険性と訳されることが多いよう

ですが、事業においては、日本語の危険と

いうよりも、不確実性という意味で理解す

ることが妥当なようです。


事業で利益が得られる裏付けは、不確実さ

があるからで、不確実さがなければ事業は

成り立ちません。


例えば、ハンバーガーが1個100円であ

れば買う人がいるということが分かってい

るとき、100円の売値で採算を得ること

ができるかどうか不確実さがあり、その不

確実さを前提に100円のハンバーガーで

採算を得られる事業を実現できたときに、

利益を得ることができます。


そこで、上手な経営をする人は、このリス

クがあることを忘れずに、いろいろな工夫

をするのであり、その方法のひとつがPD

CAであると私は考えています。


このPDCAを繰り返すことで、まったく

経験のない人から見て不確実性が大きい事

業であっても、徐々にそれを小さくしてい

くことができます。


今回の記事は、やや抽象的な説明になった

のですが、覚りが煩悩をなくすことではな

いのと同様に、上手な経営もリスクをなく

すことはできず、それをどうコントロール

するかが大切ということが結論です。

 

 

 

 

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反論する人は味方

先日、中部大学総合工学研究所特任教授の

武田邦彦さんが、インターネット番組で、

「科学と反証」について述べておられまし

た。


(ご参考→ https://youtu.be/MkU5ytyGG2c?t=4020


すなわち、オーストリア出身の哲学者の

カール・ポッパーの言葉を引用して、「反

証されえない理論は科学的ではない」とい

うことをお話しされておられました。


これは哲学的理論なので、詳しい説明は割

愛しますが、例えば「神さまが言っている

ことは正しい」という命題があったとき、

神さまのいうことを正しいと信じる人はい

るかもしれませんが、これに反論する方法

はないので、正しいかどうか(ここでいう

正しさとは、真実であるかどうかという意

味)を「科学的には論じる」ことはできな

いということです。


これは、武田さんによれば、「科学は真理

を知る活動」なので、信じるかどうかでは

なく、証明できるかどうかに重きが置かれ

ているということです。


今回、この反証(≒反論)について取り上

げたのは、日本では、会社の中で議論はあ

まり起きないことは問題だと私が思ってい

るからです。


というのは、日本の会社内では、自分と異

なる意見を持つ人がその意見を発言しただ

けで、「その人は自分に反抗した」と受け

止められてしまいがちであり、役職に上下

関係がある間柄ではなおさらです。


私は、日本の慣習の多くは優れていると考

えていますが、このような、会議では上職

者の意見を一方的に聴くだけで、自らの意

見は発言しにくい環境にあることは改めら

れるべきだと考えています。


このような状態の中では、数少ない上職者

の意見だけで会社の活動の方針が決められ

てしまいがちであり、活動が活性化しにく

くなるでしょう。


そこで、前述の「科学は真理を知る活動」

という武田さんの言葉のように、会社内の

会議でも、「議論は真理(=より多くの利

益を得るための最適な方法)を知る活動」

と考えれば、議論することに意味を見出す

ことができ、むしろ、一人の人の意見を伝

えるだけの会議は意味がないというように

感じることができると思います。


とはいえ、私自身もそうなのですが、自分

の意見と違う意見を耳にすると、感情的に

に「あの人は、私の意見にケチをつけるの

か」と感じてしまいがちです。


これについては、会議の目的は、自分の考

える通りに部下に活動してもらうことでは

なく、利益を得るための最適な活動とはど

ういう活動かということかを明らかにする

ことであり、そのためには多くの人から反

論を受けることが必要だと考えることで、

その感情を抑えることができるようになる

と思います。


そして、そのような姿勢は、経営者のよう

な他者に範を示す立場にある方こそ、重要

になってくると思います。

 

 

 

 

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その場で決断すると業績があがる

私ごとで恐縮ですが、昨年の暮れに大掃除

をしたのですが、その大掃除をするたびに

反省していることがあります。


信販売で薬などを買ったときに箱に入っ

ていたプチプチ(気泡緩衝材)や、インク

がなくなりかけているボールペンや、買い

替えたマウスが入っていた箱などを、「後

で使うかもしれない」と捨てないでおいた

ものの、結局、数か月間何もせずほこりを

かぶらせてしまっているからです。


どうせ、大掃除の時に捨てることになるの

であれば、最初からとっておかずに、捨て

ておくべきでした。


でも、それは、後になってそう思えるので

あって、例えば、マウスを買い替えたばか

りの時は、箱を捨てようという決断は難し

かったともいえなくもありません。


ただ、問題なのは、そのような誤った判断

をこれまで何度も繰り返してきているのに

もかかわらず、それをやめることができな

いことです。


これは、私だけでなく、他の人にも同様の

傾向があるようです。


例えば、私の経験では、私が事業改善をお

手伝いしている会社で5S(整理整頓)を

しようとするとき、「必要か不要か迷う時

は、思い切って捨てるようにしましょう」

と助言をしないと、なかなか職場の不要物

が減りません。


すなわち、ここでお伝えしたいことは、人

は何かを決断するとき、失敗を避けようと

する心理が働くことから、後から見れば間

違いだったと分かることを繰り返してしま

うということです。


そういう面では、私は決断が苦手だという

ことを、大掃除をしながら改めて認識した

ということです。


でも、きちんと決断をしていれば、大掃除

のときの片付けも楽になり、普段も整理さ

れた職場で、より効率的に仕事ができたこ

とでしょう。


よく、職場がきれいな会社は業績がよいと

いわれることがありますが、それは、決し

て裏付けがないわけではなく、経営者や従

業員の方が、迅速に適切な決断ができてい

るからなのだと思います。


今回の記事の結論は、結果はともかく、思

い切った決断をすることの方が業績がよく

なるであろうということです。


仮に、思い切った決断をした結果、失敗す

ることがあったとしても、その失敗をする

までに、その何倍もの正しい決断もできて

いるはずです。


逆に失敗を避けようとして決断をしないで

いることの方が、決断しなかったときより

も多くの失敗を導いてしまっていることで

しょう。

 

 

 

 

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社外取締役

先日、ライザップの役員に関する報道を読

みました。


(ご参考→ https://goo.gl/oZRmwh


すなわち、「(現在は)9人いる社内の取

締役を松本氏と瀬戸健社長の2人に大幅に

減らし、3人の社外取締役が取締役会の過

半を占めるようにする」というものです。


この記事を読んで、ライザップのことはさ

ておき、「社外取締役を取締役会の過半を

占めるようにする」ということについて気

になったので、(法律的な面ではなく、経

営的な面で)ここで述べたいと思います。


社外取締役は、会社法第2条第15項で定

義されており、分かりやすくいえば、その

会社や子会社の役員や従業員になったこと

がない取締役です。


ここで、ありていに言えば、「ほとんど自

社に関わったことがない、すなわち、自社

のことをよく分かっていない人が取締役に

なることは、あまり意味がないのではない

か」と考える人もいると思います。


私は、その考え方は正しいと思います。


ただ、その場合の「取締役」は業務執行を

担う取締役を前提としていると思います。


社外取締役は、前述の会社法第2条第15

項で、業務執行を担わない取締役(非業務

執行取締役)と規定されているので、主に

方針決定や業務執行の監督を担う役割が期

待されています。


かつての取締役は、方針決定、監督、業務

執行のすべてを担う役割を持つ人とされて

いましたが、最近は、社外取締役のような

非業務執行取締役も定めることができるよ

うになりました。


(論理的には、社外取締役でない非業務執

行取締役を選任することも可能ですが、実

質的には、社外取締役=非業務執行取締役

と言えるでしょう)


今回、ライザップの報道について取り上げ

たのは、取締役というと業務執行をする役

割を持っている人というイメージが強いと

思いますが、取締役であっても、必ずしも

業務執行を担う役割をもっていない取締役

もいるということをお伝えしたかったから

です。


逆を言えば、業務執行取締役は、業務執行

しか行わず、方針決定や監督はしなくてす

むのかというと、業務執行取締役であって

も、方針決定と監督の役割は担わなければ

なりません。


むしろ、これまでの取締役は、業務執行や

方針決定にばかり注力して、監督の役割に

はあまり注力して来なかった方が多いので

はないでしょうか?


だからこそ、あえて、方針決定や監督に専

念する社外取締役を、大企業等に実質的に

義務付けられるようになったのでしょう。


今回の記事の結論は、非業務執行取締役を

除き、取締役には方針決定、監督、業務執

行の3つの役割があるので、特に、監督の

業務を怠ることのないように留意すべきと

いうことです。


もし、代表取締役の方が、業務執行に軸足

を置きたいと考える場合は、非業務執行取

締役を定め、監督に専念してもらうことに

よって、会社運営をバランスのとれたもの

にすることができるようになるでしょう。


(この記事では、理解を容易にするため、

正確さを犠牲にした記述にしてありますこ

とをご了承ください)

 

 

 

 

 

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人に言うなら自分でやってみろ

経営コンサルタントに対する批判として、

時々耳に入ることに、「顧問先を繁盛させ

られるなら、自分も繁盛しているはず」、

「会社を経営したことがないものが、経営

者に助言できるのか」というものがありま

す。


もし、私が、私の顧問先からこのような批

判を受けた場合、信頼できないコンサルタ

ントとは、契約を解除してくださいと回答

します。


コンサルタントにも能力差があることは事

実なので、能力の低いコンサルタントは淘

汰されていくでしょう。


ただ、冒頭のような批判をする人は、本心

では、コンサルタントに疑問を持っている

のではないと思っています。


恐らく、自社の事業がうまくいっていない

ので、その責任をコンサルタントにも負っ

て欲しいと考えていたり、コンサルタント

は結局は部外者であり、当事者にはなって

もらえないという不満から、コンサルタン

トを批判してしまうのだと思います。


そもそも、コンサルティングを依頼するか

どうかは経営者が決めることであり、ま

た、コンサルティングを受けることにした

とき、どのコンサルタントに依頼するかを

決めるのも経営者です。


そう考えれば、仮に、あまり役に立たない

コンサルタントコンサルティングを依頼

してしまったとき、それは経営者の責任で

あり、コンサルタントを批判することにあ

まり意味がありません。


これはコンサルタントをかばっているよう

な書き方ですが、コンサルタント自身も常

に顧問先から評価される立場にあり、その

評価は報酬として反映され、コンサルタン

ト自身が分かっていることですから、あえ

て、コンサルタントを批判する必要はない

ということです。


むしろ、業績のよい会社は、コンサルタン

トを積極的に活用し、自社の業績をさらに

高めようとしています。


したがって、会社が業績を高めるために必

要なことは、コンサルティングフィー以上

に、自社にメリットをもたらしてくれるコ

ンサルタントを見出す能力だと思います。


コンサルタントのような、いわゆる外部専

門家は、当然に、自らの報酬以上のメリッ

トを顧問先に与えられなければ、自らが報

酬を受け取る意味はないということが分

かっていますので、基本的には外部専門家

は積極的に活用すべきであると、私は考え

ています。


もちろん、コンサルタントの中には、期待

以上の能力がない方もいますが、だからと

いって、すべてのコンサルタントが役に立

たないわけではありません。


繰り返しになりますが、優れた外部専門家

を見つけ出す能力も、自社の事業の発展を

加速させるための重要な要因であるという

ことが、今回の記事の結論です。

 

 

 

 

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