先日、中部大学総合工学研究所特任教授の
武田邦彦さんが、インターネット番組で、
「科学と反証」について述べておられまし
た。
(ご参考→ https://youtu.be/MkU5ytyGG2c?t=4020 )
すなわち、オーストリア出身の哲学者の
カール・ポッパーの言葉を引用して、「反
証されえない理論は科学的ではない」とい
うことをお話しされておられました。
これは哲学的理論なので、詳しい説明は割
愛しますが、例えば「神さまが言っている
ことは正しい」という命題があったとき、
神さまのいうことを正しいと信じる人はい
るかもしれませんが、これに反論する方法
はないので、正しいかどうか(ここでいう
正しさとは、真実であるかどうかという意
味)を「科学的には論じる」ことはできな
いということです。
これは、武田さんによれば、「科学は真理
を知る活動」なので、信じるかどうかでは
なく、証明できるかどうかに重きが置かれ
ているということです。
今回、この反証(≒反論)について取り上
げたのは、日本では、会社の中で議論はあ
まり起きないことは問題だと私が思ってい
るからです。
というのは、日本の会社内では、自分と異
なる意見を持つ人がその意見を発言しただ
けで、「その人は自分に反抗した」と受け
止められてしまいがちであり、役職に上下
関係がある間柄ではなおさらです。
私は、日本の慣習の多くは優れていると考
えていますが、このような、会議では上職
者の意見を一方的に聴くだけで、自らの意
見は発言しにくい環境にあることは改めら
れるべきだと考えています。
このような状態の中では、数少ない上職者
の意見だけで会社の活動の方針が決められ
てしまいがちであり、活動が活性化しにく
くなるでしょう。
そこで、前述の「科学は真理を知る活動」
という武田さんの言葉のように、会社内の
会議でも、「議論は真理(=より多くの利
益を得るための最適な方法)を知る活動」
と考えれば、議論することに意味を見出す
ことができ、むしろ、一人の人の意見を伝
えるだけの会議は意味がないというように
感じることができると思います。
とはいえ、私自身もそうなのですが、自分
の意見と違う意見を耳にすると、感情的に
に「あの人は、私の意見にケチをつけるの
か」と感じてしまいがちです。
これについては、会議の目的は、自分の考
える通りに部下に活動してもらうことでは
なく、利益を得るための最適な活動とはど
ういう活動かということかを明らかにする
ことであり、そのためには多くの人から反
論を受けることが必要だと考えることで、
その感情を抑えることができるようになる
と思います。
そして、そのような姿勢は、経営者のよう
な他者に範を示す立場にある方こそ、重要
になってくると思います。
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