私は、陰徳の考え方を薦めています。
もちろん、陰徳については、
すでに多くの方が理解され、賛同し、
そして実践されておられます。
また、私のような途上にあるものが、
他の方に向かって「陰徳を薦める」と
述べる資格も持っていません。
ただ、ここで述べたいのは、
「陰徳の考え方を薦める」
ということです。
これも説明するまでもないですが、
陰徳とは、人の見えないところで
よいことをするということです。
こうすることで、
社会全体がよくなっていく、
そして、それは自分のためにもなる
ということでしょう。
しかし、この陰徳の難しいところは、
人というのは、直接自分に利害のない
ことをすると、見返りを求めてしまう
ということです。
例えば、きょうは公園でごみひろいを
したから、何か見返りがあるだろうと
期待してしまうと、
それは、他者や社会のために
ごみひろいをしたのではなく、
自分が見返りを得るために
ごみひろいをしたことになるので、
結局、陰徳をしたことにはならない
ということになってしまうことです。
私も、駅などでごみが落ちているのを
みかけると、それをひろって
ごみ箱まで持っていきますが、
やはり、「いいことをしたから、
あとで、なにかいいことがあるかも
しれない」と、ついつい欲深い
考え方をしてしまいます。
こういうとき、自分はまだまだ
未熟だと感じてしまいます。
話を戻すと、本題の、
「陰徳の考え方を薦める」というのは、
経営者の方は何に満足を求めることが
大切かということです。
会社の目的は利益をえることです。
だから、会社が利益を上げれば、
経営者の方は満足するはずです。
ところが、利益を上げることで
満足しない経営者の方を見ることが
あります。
では、そのような方は、どういった
ことに満足するかというと、
極端な例では、「大手の●●社から、
3,000万円の契約を得た」とか、
「〇〇銀行から1億円の融資を
受けた」といった自分の手柄を
吹聴することに大きな関心があると
いうことです。
もちろん、売上を得たり、融資を
受けたりすることは、会社の事業の
発展にとって大切なのですが、
問題なのは、これらの活動が
最終的に自社の利益に結びついて
いるところまでを見ていない方も
少なくないということです。
いくら大きな契約をとったとしても、
会社全体として利益を得て
いなければ、事業を営む意味は
ありません。
このことは当然と思う方が多いと
思いますが、その一方で、
私の経験では、月次で利益管理を
している会社は少数派です。
もし、経営者の方が、
利益を得ることに関心があると
すれば、その方は、いくら利益が
得られたかということを、毎月、
確認していることでしょう。
経営者の方は、派手なプレーヤーと
なることよりも、会社の事業が
順調に進んでいるかということに
満足を感じることが大切である
ということを、改めて言及したいと
思います。