先日、不思議な力を持つ正義の騎士が宇宙を舞台に悪者と戦うSF映画の新シリーズのひとつが封切られました。この映画のシリーズは世界的に人気で、大きな影響を与えていますが、1977年に公開された最初の作品については、前評判も低く、著名な俳優にも出演を断られたそうです。(ちなみに、この映画は、日本映画の巨匠の作品がヒントとなっていたり、その巨匠の作品に何度も出演した俳優さんに出演オファーがあったものの断られたというエピソードがあるそうです)
ところで、この映画に限らず、前もって事業が成功するかどうかを評価することはとても難しいということも、多くの方が理解していると思います。いまは、世界的にディファクト・スタンダードになったコンピューターの基本プログラムを開発した会社も、事業開始当初は銀行から融資を得られなかったそうです。稲盛和夫さんも、京セラを創業した時は、銀行からの借入に苦労したということをお話しされていました。
結論は、創業した会社が融資を受けようとするときに、銀行がその事業の目利き力を高めておくことが求められます。しかし、その一方で、融資を受けようとする側は、事業を目利きすることも難しいものであるということを認識しておく必要があるということです。
創業時に融資を受けようとする会社のお手伝いを、長い間携わってきたものとして私が感じることは、「自社はこれからこういう事業を行おうとしている」という構想を説明する会社はたくさんあります。でも、「自社の行おうとしている事業は、こういう理由から利益を得られる見込みである」というところまで説明する会社は圧倒的に少ないということです。「自社は何をやりたいか」を銀行に訴えるよりも、「自社への融資はなぜ間違いないのか」を訴える方が、より実践的だと思います。むしろ、そこまで考えていないで創業してしまうことは、銀行から融資を受けられるかどうかの前に、ギャンブル的であると言えるでしょう。