鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

5Sのすすめ

料理をする人は、まず、段取りを考えると

いうことをよく聞きます。


例えば、カレーを作る時は、最も固い

野菜のにんじんから煮る方が多いのでは

ないでしょうか?


もちろん、具材の調理の順番だけでなく、

調理時間が長い料理から先に調理を始め

たり、煮込み時間を待つ間に、すでに

使い終わった鍋を洗ったりするという

段取りを組んで、片付けまでの時間が

短くなる工夫をすることが多いでしょう。


このようなことは、特に珍しい訳でも

なく、普段から多くの方が行っている

ことです。


このような段取りは、もちろん、

ビジネスでも行われていて、トヨタ

カンバン方式が、その代表例でしょう。


詳細は割愛しますが、CPFR、

ERP、SPAといった最新の経営

手法も、段取りを重視したものです。


ここまで大がかりにしなくても、

短時間で仕事を終わらせる工夫は、

もっと身近に行われているでしょう。


例えば、衣類小売業のしまむらでは、

閉店後、すぐに店員の方たちが職場を

離れることができるよう、閉店時刻の

30分前から段取りをつけて閉店の

準備を行い、閉店後に直ちに帰ることが

できるようにしているそうです。


そして、このようなことは、しまむら

限らず、多くの職場で行われていること

でしょう。


しかし、ときどき残念な状況を見る

ことがあります。


分かりやすい例では、会議の後の、

会議室の状況です。


使ったままで会議室を後にしてしまう

という事業所は、少数派ですが、

ときどき見ることがあります。


段取りを考えると、次の会議に備えて、

机やいすをもとの場所にもどしたり、

会議中に飲んだ飲みものを片付けて

から、会議室を後にすることが望ま

しいでしょう。


このようなことをこれ以上書くと、

単なる小言になってしまいますので、

控えたいと思いますが、このような

小さな配慮の積み重ねが、後になって

大きな差になってあらわれるものと

思います。


よく、トイレのきれいな会社は業績が

よいなどと言われますが、それは、

段取りの良さなのでしょう。


私は、職場での5S活動を進めて

いますが、それは、段取りをよくし、

職場の効率を高めたり、従業員の方の

意識の向上に大いに役立つからです。


ご関心のある方は、ぜひ、5Sを

実践してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

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社長が語ると業績がよくない

先日、小山昇さんが、ラジオで次のような

ことをお話しされていました。


すなわち、社長が語ると会社は業績がよく

ない。


会社の方針が社長の考えに偏るからだ。


社長は、従業員全員の意見をきいて、

よいと思ったものを採用するように

すべきだ。


そうすると、従業員の方もやる気が出る。


小山さん自身も、会社では全員の話しが

終わるまでしゃべらない、ということ

でした。


このことは、多くの方が賛同されると

思います。


そして、私も、ここで「従業員の方の

意見をきくようにしましょう」などと、

改めて述べるつもりはありません。


述べたいのは、このようなことが

分かっているのに、それができない

経営者の方が多いということです。


小山さんのお話しも納得できるもの

ではあるものの、多くの会社経営者の

方をみると、自分の方針で事業を進め

たいから会社を起こした。


それなのに、社長になったら、今度は

従業員の方の意見をきかなければ

ならないというのであれば、会社を

起こした意味はない、と考える方も

いるでしょう。


ここで、ひとつ視点が欠けていることが

あります。


それは、「自分の方針で事業を行う

=会社が黒字になる」ということに

なっているかどうかということです。


これについても、「自分の方針は事業を

成功させるための方針だ。だから自分の

方針で事業を始めようとしているのだ」

と反論されるでしょう。


この反論については、テストマーケ

ティングをするなどの、客観的な根拠を

持って臨む方は成功する確率は高いと

思いますが、私がこれまでお会いした

方の大多数は、自分がそう考えている

というだけで、客観的な根拠は持って

いません。


客観的な根拠なしに、自分が成功すると

思うから、その方針で事業を行うという

ことであれば、小山さんが指摘した、

自分の意見しか通さない会社の社長と

同じということでしょう。


結論としては、社長の役割は、自分の

考え方を実践することではなく、成功

することに責任を負い、そのための

意思決定をするということです。


この考え方を抜きにしては、事業は独り

よがりになり、社長は裸の王さまになって

しまうでしょう。

 

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公務員の方の底力

2月14日の日本経済新聞に、総務大臣

行き過ぎたふるさと納税のお礼の品に

対して批判したという記事が載って

いました。


私は、総務大臣の考え方に対しては賛成

しますが、その一方で、地方自治体の

意気込みはものすごいものがあると

感じています。


私の知人にも、市役所に勤務している

人がいますが、なかなか地方活性化の

切り札がないことに、苦心している

ようです。


そういった中で、ふるさと納税の制度は、

地方の自治体の思いが噴き出している

からこそ、このような活発な活動に

つながっているのだと思います。


正直なところ、私は、「お役所仕事」を

する人は好きではないのですが、

ふるさと納税を活用しようとしている

姿勢については評価したいと思います。


ところで、このふるさと納税の過熱を

みて、私は、かつて、いわゆる「山一

ショック」の時代につくられた、

中小企業金融安定化特別保証制度を

思い出しました。


この特別保証は、拓銀長銀日債銀

などの大手を始め、中小金融機関が

あいついで破たんする中で、中小企業

への貸し渋りが起きないようにする

ために作られた制度で、最大の特徴は

ネガティブリスト方式だったという

ことです。


これは、この保証の条件となるチェック

リストに、保証を依頼した会社の条件が

該当すれば、いわゆる審査を行わずに、

信用保証協会が銀行に対して融資の

保証を行うという仕組みでした。


実質無審査であり、返済されない融資が

10%もあったことなどから、後に、

大きな批判もありました。


それはさておき、私が、なぜ、この

制度を思い出したかというと、当時、

銀行で働いていた私に対して、信用

保証協会から督促をされたからです。


一般的な信用保証は、審査結果は時間が

かかり、銀行のほうから、協会に対して

承諾してもらえそうかどうかを尋ねる

ことが多いものでした。


ところが、保証制度については、取扱が

始まったとたん、信用保証協会では、

休日返上で審査を行いました。


前述の督促とは、私の担当していた

会社の保証依頼について、不足する

書類があり、それを早く提出して

欲しいというものでした。


ただ、その会社は、融資の希望日まで

まだ日数があったので、「それでは、

あさってまでにお送りします」と

回答したところ、「待てないから、

こちらから会社に提出してもらうよう

依頼します」と言われました。


このことからわかるとおり、督促の

目的は、会社が融資を受けないと困る

からではなく、恐らく信用保証協会が、

何日までに何件を保証するという目標が

あったからだと推察します。


それはそれでありがたいことなのに、

なぜ、こういうときだけなのかと、

当時の私は思いました。


今回の結論の記事は、公務員(信用保証

協会の職員は、厳密には公務員ではあり

ませんが、実質的には公務員と言えます)

の方は、上職者の命令で、軍隊のように、

力強く動き出すということです。


恐らく、民間会社でも、そこまでがむ

しゃらに行動できる組織はなかなか

ないのではないかということです。


普段は「お役所仕事しかしない」などと

ちょっと軽蔑していた公務員の方も、

その底力は強いと思った次第です。


今回は、どうすればそういう組織が

作れるかというところは割愛しますが、

民間の会社の経営者の方も、そういった、

強い組織を作れることを目指すべきでは

ないかと思いました。

 

 

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991,000円

991,000円とはどういう数字か

というと、かつて、銀行のATMから

引き出すことができる最大の金額でした。


もちろん、いまのATMは、性能が

向上し、100万円も引き出しできる

ようです。


(とはいえ、防犯上、20万円を上限に

している銀行も多いようです)


かつて、最大の金額が991.000円

だった理由は次のとおりです。


まず、お札の数の制限です。


これは、単純に、1万円札と千円札の

合計枚数が100枚に収まらなければ

ならないということです。


ふたつめは、数字の制限です。


かつてはATMの性能が低く、金額は、

3桁で、ホストコンピュータに伝えて

いました。


例えば、12万3千円を引き出すという

操作をすると、ATMは、「123」と

いう数字をホストコンピューターに

伝えます。


これを受信したホストコンピューターは、

送られてきた「123」という数字を

千倍にして、12万3,000円の

引き出しの操作があったと認識します。


これらのふたつの条件で、最大の金額は、

前述の991,000円になります。


一見、100万円が最大と思いがち

ですが、100万円の数字を伝えるには、

1,000,000÷1,000=

1,000となり、4桁が必要になります

ので、これは該当しません。


では、3桁で伝えられる金額で最大額の

999,000円かというと、これは、

紙幣の枚数が108枚(=1万円札が

99枚+千円札が9枚)ということに

なり、これも該当しません。


よって、999,000円から、千円札の

枚数を減らしていって、100枚に収まる

金額の、991,000円が最大の金額と

いうことになります。


ちなみに、この次に、最大の金額は、

990,000円ですが、その次は、

989,000円ではなく、

982,000円です。


989,000円では、お札の枚数が

107枚となるので、100枚に収まる

982,000円が3番目に多い金額と

いうことになります。


と、ここまで書いて何を伝えたいかと

いうと、ナレッジを集めましょうと

いうことです。


実は、このATMの知識は、私が知って

いたのではなく、私が本社勤務をして

いるときに、お手伝いに行ったお店の

女性の職員の方から教わったことです。


ATMで100万円を引き出そうとして

いたお客さまから、操作エラーが出ると

伝えられたので、前述のようなことを、

お店の方から教わりました。


このATMの知識は、機械を設計して

いる人は、分かってはいるものの、

お店で顧客に注意喚起しなければなら

ないとまでは認識していなかったと、

私は想像しています。


しかし、現場にいる人は、顧客がATMの

操作で、よくエラーになる操作は、どう

いうことかということを、たくさん知って

います。


ATMを設計した人は、操作方法を、

銀行のすべての職員に伝えることは容易

ですが、お店にあるATMを操作する

顧客が、どういうエラーを起こすかという

ことについて、ATMメーカーや、他の

部署に伝える機械はなかなかないと

思います。


だから、私は前述のような現場の知識を

会社で共有することは、サービスの質の

向上や、仕事の効率化にもなると思って

います。


このような手法は、広い意味でナレッジ

マネジメントといいますが、そこまで

仰々しくなくても、グループウェア

などで共有するという工夫は、規模の

小さな会社でもすぐに実施できます。

 

 

 

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銀行の決済業務と収益機会

よく、「銀行は3時で閉店するが、その

あとは何をしているのですか」ときかれる

ことがあります。


凡そ、4時までは、勘定を締める作業で、

その後5時までは、片付けをしています。


では、なぜ、3時で閉店しなければなら

ないのかというと、銀行法施行令

第16条第1項で「銀行の営業時間は、

午前九時から午後三時までとする」と

定められているからです。


といっても、それでは納得できる回答

ではないと思います。


大雑把に述べると、手形の決済をしな

ければならないからということになる

でしょう。


商取引で使われている手形について、

一定のタイミングで締め切らなければ、

ちゃんと決済されたのか、それとも

不渡りになったのかが確定されない

ため、銀行は毎日3時に銀行を閉店

するというルールができたのでしょう。


こう説明すれば、「決済業務以外の

仕事は3時で終わらなくてもいいの

では?」という疑問を持つと思います。


これは、例えば、融資業務においても、

融資金を預金に入金するという作業や、

逆に、毎月の返済金を預金から引くと

いう作業があるので、決済業務に

合わせて仕事をする必要があります。


ただ、融資業務の大部分は、融資審査

なので、最近は、決済業務や、預金

業務を営む店とは別に、融資の受付や

審査だけを専門に行う事務所を設けて

いる例も多く見られます。


いわゆる、法人専門の営業所や、住宅

ローン専門のお店で、住宅ローンは、

休日でも営業していることがあります。


話を本題にもどすと、前述の、決済

業務は、銀行にとってあまり収益源に

なっていないと私は考えています。


実は、銀行も、決済業務については

あまりコスト計算をしていないよう

ですが、ひとつの例として、セブン

銀行の手数料が参考になると思って

います。


非公開ではあるため、正確な数値では

ないものの、セブン銀行のATMで、

同行以外の銀行の預金者が預金を

引き出したとき、その銀行はセブン

銀行に対して200円ほどの手数料を

支払っています。


これを見れば、銀行は、ATMからの

引き出しに、約200円のコストを

見込んでいると考えていると言えます。


ただ、銀行によっては、そのコストの

一部または全部を預金者に負担させて

いるので、すべて銀行のコストとは

言えない面がありますが、コストが

どれくらいかかるのかという点では

参考になると思います。


ですから、1年間の普通預金の平均の

残高が100万円の人が、毎月、

10回の頻度でATMから預金を

おろしているとすれば、銀行は、

その人との取引に、2,000円の

コストがかかっていると見ることが

できます。


そこで、その人が、銀行に対して、

「1年間、1回もATMを使わない

から、24,000円を利息として

支払って欲しい」と言ったとしても、

銀行としては損はしない計算になり

ます。


(もちろん、実際には銀行はその

ような要求は受け入れないので、

ご注意下さい)


ここまで、銀行からみたコストに

ついて書いてきましたが、要は、

決済業務はあまり収益源になって

いないということです。


では、なぜ、銀行は決済業務を

行ってきたのかというと、それは、

口座がある人は、将来は、利益を

もたらしてくれる人(会社)に

なるであろうという期待があった

からでしょう。


しかし、セブン銀行のように、

ATMに特化した銀行が登場したり、

電子マネーが登場することで、

銀行だけが決済業務を引き受ける

必要はなくなりつつあると思います。


今回の結論は、「すべての人に同じ

サービスを提供する」ということは

これからはなくなっていくでしょう

ということです。


具体例は割愛しますが、私が

お手伝いをしている会社の中にも、

不採算な取引先との取引を続けて

いることが珍しくありません。


これは、収益にシビアな時代に

なったからこそ、採算の合う

会社の選別をすることなしには、

収益の維持は難しくなっていくと

私は考えています。

 

 

 

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女性はきれいずき

平成29年2月3日の日経MJに、

コインランドリーの数が増加している

という記事が載っていました。

(出典:平成29年2月3日付日経MJ

「コインランドリー、まるでコンビニ

全国1万8000店に急増」


記事によれば、業界推計で2015年に

1万8,000店が出店されており、

コンビニ2位のファミリーマートの規模に

匹敵するそうです。


この記事については、なぜ、コイン

ランドリーが増えているのか、また、

各店の工夫などが紹介されており、

それぞれ面白い内容でした。


その中で私が注目したのは、店をきれいに

維持している店があるということでした。


その店は、東京都町田市のランドリーデポ

という店で、時間単位の清掃マニュアルを

作成したり、パート向けに清掃に関する

社内資格の試験もあるそうです。


要は、コインランドリー店であっても

ホスピタリティを提供しているという

ことです。


コインランドリーだから、原則、無人の

店舗になると思われがちですが、

時間単位の清掃マニュアルがあるという

ことは、実質的に有人店舗になるという

ことです。


今回の記事の結論は、ホスピタリティは

効果があるということです。


むしろ、ホスピタリティなしでは、事業が

うまく行かないのではないでしょうか?


もうひとつ言及すると、事業現場では、

まだまだ目に見えないことは、後回しに

されがちであるということです。


恐らく、コインランドリーでホスピタリ

ティを高めようとする人は少ないと

思います。


それは、さまざまな理由があると思い

ますが、実は、無形の部分で勝負を

するというのは、難しいことです。


だから、多くの経営者の方は、後回しに

してしまうと私は考えています。


これも繰り返しになりますが、現在は、

目に見えないもので勝負がつく時代で

あり、だからこそ、経営者の方は

そこに向き合わなければならないと

思います。

 

 

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※写真と本文は関係ありません。

リーダーシップ

リーダーシップと聴くと、私は、かつて

放送されていた、リーガルハイという

番組で、伊東四朗さんが演じた、アニメ

映画監督のセリフを思い出します。


その監督は、ヒット作を産み出している

ものの、従業員にはきつく接し、その

うちの一人が心を病んで絵をかけなく

なったことから、裁判で監督を訴えた

という設定です。


裁判所で、監督は、従業員の代理人

弁護士から「その従業員に才能が

あったと認めるべきだったのでは

ないか」と問われ、「才能があると

思ったことはない」と答えました。


続けて、「自分にも才能があると思って

いない。才能は備わっているものでは

なく、自分がもがいて掴み取るものだ」

と話しています。


ところで、リーダーシップについては、

いろいろな人が研究をしていますが、

このうち、リッカートの研究である、

システム4理論が有名です。


これによれば、専制型、温情型、協調型、

民主主義型の4つに分かれ、民主主義型の

会社が最も業績がよいということです。


ただし、どんな組織でも民主主義型の

リーダーシップを発揮できるわけでは

なく、従業員の成熟度が低い場合は、

専制型や温情型のリーダーシップを

取らざるを得ないでしょう。


そこから、徐々に協調型、民主主義型に

移していくことが理想であり、私も、

一般的な事業を営む会社さまに対して

事業改善のお手伝いをしている時は、

民主主義型を目指すように助言をして

います。


ただ、前述の映画監督のように、芸術系や

独創性が求められる事業については、協調

型や民主主義型よりも温情型、専制型が

向いていると思っています。


私が属しているコンサルタント業界もその

典型でしょう。


このように、事業の成果を高めるため

には、自社の事業はどのようなリーダー

シップの形をとるべきかということも、

経営者の方は考えることは大切でしょう。


ただし、専制型、温情型をとり、部下に

対して厳しく接するからには、自分自身

にも厳しく律しなければなりません。


単に、自分に甘く、部下には厳しいという

ことであれば、それはリーダーシップの

発揮ではなく、権限の濫用になってしまう

ということは言うまでもありません。

 

 

 

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