[要旨]
人材紹介業のキープレイヤーズの社長の高野秀敏さんによれば、一般的に、仕事ができる人は環境が変わっても結果を出せますが、環境が変われば、過去の経験は役に立たなくなり、目の前の状況に適応できる人だけが結果を出せるので、組織での評価はあてにならないということです。
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今回も、前回に引き続き、キープレイヤーズの社長の高野秀敏さんのご著書、「ベンチャーの作法-『結果がすべて』の世界で速さと成果を両取りする仕事術」を読んで私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、高野さんによれば、裁量が与えられればもっと成果を出せると考えているベンチャー企業の従業員は少なくないそうですが、ベンチャー企業こそ部下に失敗を経験させる余裕は少ないため、裁量を得たい人は、しっかりと経験を積み、信頼を得てからでないと、仕事を任せてもらえるようにはならないということについて説明しました。
これに続いて、高野さんは、従業員に対する会社の評価は、環境に適応できているかどうかであるということについて述べておられます。「一般的に、仕事ができる人は環境が変わっても結果を出せます。仕事の段取りやコミュニケーションの取り方、調整の仕方など、あらゆる仕事の共通項、いわば『本質』をしっかり理解しているからです。
ですが仕事において重要な本質は同じであっても、環境や状況によってその『量』や『速度』はガラッと変わります。ベンチャーではひとりで二役、三役、四役をこなさなくてはいけないことも。ときには調整や確認をすっ飛ばして、自分で考えて進めていかなくてはいけなくなったりします。環境が変われば、過去の経験は役に立たなくなります。目の前の状況に適応できる人だけが、結果を出せるのです。
一方で、大手企業ではそれほど評価されなかった人がベンチャーで評価されることもあります。たとえば多動的で、いくつもの仕事を同時並行していないと落ち着かない人。ひとつのビッグプロジェクトを中長期的に進めることの多い大手企業では『集中力や継続力がない』との評価をされるかもしれません。ですが、いくつもの仕事を振られるベンチャーでは、少々粗削りでも振られた仕事をすベて着実に前に進めていける人は評価されます。
事業が定まっていないシード期、アーリー期の企業では活躍することもあります。要するに、組織での評価なんてあてにならないのです。それは単純に『環境に適応できているかどうか』という判断でしかないのです。ですから、過去の評価や実績を過信していても意味がありません。柔軟性を持ち、今の環境に合わせられる人が、ベンチャーでは結果を出します」(62ページ)
極端な例かもしれませんが、iPS細胞を開発し、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、研修医時代は手術が苦手だったため、指導医から「ジャマナカ」と呼ばれ続けたそうです。そこで、山中教授は、研究者の道に進み、ノーベル賞を受賞するまでに至ったわけですが、ノーベル賞受賞者であっても、手術が下手であったために、病院で働いていたときは評価されなかったわけです。
そこで、高野さんは、「組織での評価なんてあてにならない」と述べておられるのでしょう。もちろん、「適材適所」という言葉があるわけですから、各々の従業員の特性にあった業務につけば、高い成果を出すようになるということは、多くのビジネスパーソンは理解していると思います。
しかし、「適材適所」で働いているかどうかは、従業員自身が転職しない限り、経営者、または、幹部従業員の方に責任があるでしょう。従業員自身も、常に自らのスキルアップの努力を続けることは必要ですが、経営者や幹部従業員も、従業員の評価は現在の環境による面が大きいということを忘れずに、より能力を発揮できる機会を提供することが、会社の業績を高めることになると考えることが大切だと思います。
2026/5/4 No.3428
