鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

売上はプロセスで利益は目的

[要旨]

北の達人コーポレーションの社長の木下勝寿さんによれば、利益が絶対の目的であり、売上はそのプ口セスと考え、月次で利益を管理しているそうです。さらに、利益総額ではなく、採算の悪い部門については取扱をやめ、無駄なコストが発生しないようにしているということです。


[本文]

今回も、前回に引き続き、北の達人コーポレーションの社長の木下勝寿さんのご著書、「売上最小化、利益最大化の法則-利益率29%経営の秘密」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、木下さんによれば、利益を最大化するためには、ロングセラーを前提に商品を開発すべきであり、なぜなら、次々に新商品を開発すると、売上も増加しますが、その開発コストや販売コストも増えるため、利益が減ってしまうからだということについて説明しました。

これに続いて、木下さんは、売上はプロセスで利益は目的であるということについて述べておられます。「会社を利益体質に変えるには、利益目標を設定することだ。無収入寿命でもいい。多くの人は昨日の続きの仕事をやって、いつかゴールにたどり着くと考える。だが、今までと同じように歩いてもゴールにはたどり着かない。目的地を設定するから軌道修正も可能になる。

同じことを続けていいのか、仕事の優先順位ややり方を変える必要仕ないのか、徹底的に自分に問う必要がある。だから、利益目標の設定を毎月、見直す。利益につながらない仕事を見つけたらやめる。このときグロスで利益を見るだけでは足りない。業務ごとに利益を管理する。業務ごとに採算が合っているかを見て、合っていないところはすベて切る。多くの人が『そうすると、売上が下がってしまうのではないか』と言うが、そもそも売上を求めなくていい。

コストは、何でも削減すればいいわけではない。適切な投資はするべきだ。ただし、施策と利益との関連性は常に数字で評価ずる。(中略)これを怠って施策を楽観的に評価するとすぐ赤字になる。『この広告を打つことで、いつか利益が上がるだろう』と期限も根拠もないことを言ってはいけない。売上と利益は対比するものではない。利益が絶対の目的であり、売上はそのプ口セスだ」(72ページ)

木下さんの「売上はプロセスで利益は目的である」というご指摘については、ほとんどの方がご理解されると思います。しかし、実際には、売上を目的に事業活動が行われていることが多いと、私も感じています。その理由として私が考えているものの1つ目は、売上と比較して、利益と費用は、すぐに把握することが難しいということが挙げられます。その詳細な説明は割愛しますが、商品の販売に要した費用は、複数あり、かつ、複雑に計算しなければ確定しないためです。

理由の2つ目は、利益だけでなく、売上でさえリアルタイムに把握していないからだと思います。とはいえ、売上は来店客数の多さ、契約数の多さなどによって、肌感覚で把握できるので、そういった肌感覚で増えればそれでよいと考えている経営者の方も多いのではないかと思います。

しかし、売上のすべてが利益に貢献しているとは限らないし、場合によっては、不採算の取引が含まれていることもあります。しかし、利益に貢献している売上を直ちに見分けることが難しいので、売上を増やせば利益が増えると言う前提で活動をしてしまうことが多いのだと思います。

すなわち、木下さんの「売上はプロセスで利益は目的である」というご指摘は、利益をリアルタイムで把握することで実践できる考え方であり、利益をリアルタイムで把握するスキルや労力がない会社は、売上を得るというプロセスだけを繰り返すことになり、正確に目的までたどりつくことができなくなっているということだと思います。

ちなみに、ニトリでは、同社会長の似鳥昭雄さんが、月次で収益を把握していては、対応が遅すぎると考え、週次で収益を把握するシステムを自社で開発したそうです。私は、中小企業では、月次の把握で十分だと考えていますが、利益を得るには、業績を迅速に把握することは欠かせないということに間違いはないと思います。

2026/4/22 No.3416