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船井総合研究所のシニアコンサルタントの川原慎也さんによれば、ビジネスパーソンが功績が認められ、昇格することは喜ばしいことではあるものの、チームリーダーは個人の成果よりもチームの成果を出すスキル、すなわち、マネジメントスキルが必要になるということです。
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船井総合研究所のシニアコンサルタントの川原慎也さんのご著書、「これだけ!PDCA-必ず結果を出すリーダーのマネジメント4ステップ」を拝読しました。同書で、川原さんは、チームが結果を出すにはマネジメントスキルが必要だということについて述べておられます。「『自分にも部下がつくことになりました』私は、これまでに数多くの新リーダーからこのような報告をもらいました。仕事をしていく中で、経験を積み、たとえ数名であっても自分に部下ができるというのはすごく嬉しい瞬間のようです。
働いている会社において『自分の仕事が認められた』という実感を持てる瞬間でもあるからです。しかし、喜んでいられるのも束の間、部下を持った瞬間から、上司には“マネジメント”というスキルが新たに要求されるようになります。それまでは、自分の成果を上げることに集中していればそれなりの評価を得られていたのに、突然、組織としての成果を上げなければ評価されない立場になったわけです。プロスポーツの世界では、『名選手、必ずしも名監督にあらず』と言われています。
現役時代には華々しい活躍をしていた選手でも、監督になったときにチームを強くできるとは限らないことからきている言葉です。特に、現役引退直後に監督を任されたりするケースだと、そこそこ自分の体が動くこともあって、『なぜ、(自分にはできる)これくらいのことができないの?』という前提で指導をしてしまい、結果として選手との間に溝をつくってしまうことが往々にしてあるようです。
一方で、現在スペインのプロサッカーリーグに所属するレアル・マドリードを率いているモウリー二ョ監督のように、選手としてのキャリアを全く持っていなくても、あらゆるチームで成果を出す監督もいます。個人の成果を出すことと、チームの成果を出すことは全く別次元の話なのです。これは、スポーツの世界に限ったことではなく、私たちビジネスの世界においてもそのまま当てはまる話だと思ってください。チームの成果を出すために必要なスキルが、“マネジメント”スキルです。
『“マネジメント”スキルなんて難しそうだなあ』と思われる方もいるかも知れませんが、安心してください。あの『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの“マネジメント”を読んだら』(岩崎夏海・著、ダイヤモンド社)、通称『もしドラ』で、女子高校生の野球部のマネージャーが勘違いで手に取った本のタイトルが、正にこの『マネジメント』です。
彼女は『マネジメント』を読み、そこから得たヒントを元にチームを強くし、見事弱小チームを甲子園出場にまで導きます。この本はフィクションですが、この野球部のように、一つの目標に向かって組織を運営するために、自然とマネジメントはされているはずです。ただ『マネジメント』という言葉を使っていないだけで、本来はとても身近なものなのです」(14ページ)
今年の1月、プロ野球チームの北海道日本ハムファイターズや、日本代表の監督などを務めた、栗山英樹さんが、野球殿堂入りをしました。栗山さんは、2023年のワールド・ベースボール・クラシックで、日本代表を優勝させた功績などが評価されたようです。ところが、栗山さんは、表彰の際に、「まさかテスト生でプロ入りした自分がこんなに長きにわたって、野球界に携わることができるとは思っていませんでした。正直、自分みたいな人間がここ(野球殿堂)に入っていいのかという思いはいまだにありますが、『これからの野球界のためにしっかり働きなさい』ということだと受け止めています」とお話しされたようです。
野球殿堂には、プレーヤー表彰と、エキスパート表彰があり、栗山さんは指導者が対象となるエキスパート表彰を受けているので、「テスト生でプロ入りした…」というプレーヤーとしての経歴は、直接、関係はありません。でも、野球の栄誉を受けるにはプレーヤーとしての活躍も前提になっていると、栗山さん自身も感じているのでしょう。しかし、川原さんも、「個人の成果を出すことと、チームの成果を出すことは全く別次元の話」と述べておられます。
もちろん、この川原さんのご指摘は、多くの方がご理解しておられると思いますし、また、現在は、真新しい考え方でもないと思います。その一方で、例えば、起業をしようとするとき、「『個人の成果を出すことと、チームの成果を出すことは全く別次元の話』だから、チームの成果を出すためのスキル、すなわち、マネジメントスキルを学んだり身に付けたりしてから起業しよう」と考え、それを実践している人の割合は低いのではないかと、私は感じています。
さらに、これはこれまで私が何度もお伝えしているのですが、VUCAの時代である現在は、かつてより、マネジメントスキルが、業績を左右するポイントになってきていると思います。したがって、こらからのビジネスパーソンには、マネジメントスキルについて関心を高めていただき、さらに、それを身に付けていっていただきたいと、私は考えています。
2026/3/18 No.3381
