[要旨]
ビジネスコーチは、クライアントの経営者にとって、目を向けたくないことに目を向けさせる質問をすることがありますが、それに真摯に向き合うことで、経営者の方の能力を高めることになる一方で、このことは容易に理解できるものの、「苦い薬」をのもうとしない経営者の方も少なくないことから、経営者としての能力を高めることができるかどうかは、経営者の意思が大きな鍵になっているということができます。
[本文]
ビジネスコーチの秋山ジョー賢司さんのポッドキャスト番組を聴きました。番組で、秋山さんは、コーチの役割として、(1)経営者が判断を避けようとしているところを判断してもらうような質問する、(2)経営者が気づかないことを気づいてもらえるような質問をする、(3)質問することによって、課題に対する経営者の責任を自覚してもらえるようにする、ということを意識しているそうです。ところが、このような姿勢で接することによって、クライアントの中には、秋山さんに対して反感を感じる方もいるということです。
さらに、ビジネスコーチの中には、コーチの契約を継続してもらいたいために、クライアントが心地よいと感じることしか質問しない人もいるということでした。これについては、当然、秋山さんのようにクライアントに接するコーチの方が、クライアントは成長し、大きな成果を得ることができるということは、容易に理解できると思います。端的に言えば、「良薬口に苦し」ということだと思います。
そして、経営者の方が苦い薬をのむのか、のまないのかという問題は、改めて述べるまでもなく、広く知られていることです。ところが、これは、私の肌感覚なのですが、苦い薬をのむことを避けたがる経営者の方は、決して少なくないと思っています。中には、「苦い薬をのみたくない(自分と異なる意見を言う人をそばにおきたくない)から独立して経営者になった」という方もいます。
もちろん、そういう人でも、ライバルと比較して抜きん出て鋭いセンスがあり、短期間で業績を高めることがあるので、直ちに問題になるとは限りませんん。しかし、そのようなセンスのある方は、100人中、数名に限られるでしょう。(もちろん、私も、「その他大勢」のうちの1人です)したがって、多くの中小企業では長期間にわたって安定して発展させることが望ましく、そういう場合は、ビジネスコーチや経営コンサルタントでなくても、古参社員、顧問、メンターなど、そばに苦い薬を出してくれる人を持つことが望ましいと思います。
例えば、2014年に、日本やオーストラリアなどのミスターミニットを運営する、ミニット・アジア・パシフィックの社長に就任した迫俊亮さん(現在は、メルカリの執行役員)は、それまで業績が右肩下がりだった同社をV字回復させましたが、当時は、ファーストリテイリング副社長や、ファミリーマート社長などの経歴を持つ澤田貴司さんに助言を求めていたそうです。繰り返しになりますが、苦い薬をのむことは大切ということは多くの方が理解しておられると思う一方で、それが実践されていないことも多いようなので、その大切さを秋山さんの番組を聴いて、改めて感じました。
2026/3/15 No.3378
