鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

株式会社は『かね』の論理で動く組織

[要旨]

銀行が行う融資審査は、主に財務分析、すなわち、定量評価が中心になり、定性評価の比重が少ないことから、融資を受ける会社の経営者の方と認識にずれが起きることがありますが、そもそも、株式会社は「かね」の論理で事業を営む組織であることから、経営者の方は、会計を軽視せず、会計が苦手な場合は会計の知識を身に付けることが望ましいといえます。


[本文]

前回は、中小企業の経営者の方が、会計的な知識が不足していると、自社が債務超過になってもその状況を正しく認識ができず、適切な経営判断ができなくなるということについて説明しました。そこで、その対処法については、経営者の方が会計について学ぶしかないとお伝えしたのですが、今回は、経営者の方の中には、会計をあまり重視していない人もいるようだということについてお伝えしたいと思います。

では、そのような中小企業経営者の方は、なぜ、会計をあまり重視しないのかというと、会計は自社の状況を適切に評価していないと考えているからではないかと、私は考えています。というのは、私が銀行に勤務していたとき、融資をしている中小企業経営者の方の中には、「当社はもうけるためだけに会社を経営しているのではない」ということを口にする方が少なからずいたからです。これは、経営者自身は懸命に仕事に取り組んでいるのに、その成果がなかなか業績にあらわれず、銀行からもそれが評価されないことから、そのようなことを口にしているのだと思います。

言い換えれば、銀行は定量評価、すなわち数字でしか評価しないが、もっと定性評価、すなわちポテンシャルを評価して欲しいと考えているのだと思います。もちろん、銀行は、融資相手の会社を定性面でも評価をします。ただ、定性評価は主観的な余地が大きいので、融資判断は客観性の高い定量評価が中心になることも事実です。ここで、経営者の認識と、銀行などステークホルダーの認識に差がでることから、会計に関して疑義を持つ経営者の方が多いのではないかと、私は考えています。

しかし、私は、そのような事情があるとしても、会社経営者の方が会計の知識を持たなくてよいと考えるべきではないと思います。日本の中小企業の多くは株式会社(特例有限会社を含む)だと思いますが、そもそも、株式会社は不特定多数の出資者から出資を募って事業を営む組織なので、いわゆる「かね」の論理で動く組織です。ですから、株式会社で事業を営んでいるからには、「かね(もうけ)のために事業活動をしているわけではない」と経営者の方が考えているとしても、「かね」の論理から逃れることはできません。この続きは、次回、説明します。

2026/1/19 No.3323