鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

受け取るものは魚ではなく釣り竿

[要旨]

事業改善のために、経営コンサルタントの支援を受けることは有用ですが、コンサルタントには、自社の不得手な部分を代わって担ってもらうのではなく、不得手な部分をコンサルタントの支援で克服するようにすることが、会社として成長することになり、最短で業績を高めることができるようになると言えます。


[本文]

前回は、事業改善を遂行するには、新たな経営戦略の実施や、新たな情報システムの導入だけでなく、従業員も変化しなければならないということは、容易に理解できることであるにもかかわらず、後回しにされてしまったり、まったく着手されなかったりすることは珍しくなく、その理由は、従業員の方を変える(育成する)ことは、比較的難易度が高く、時間と労力がかかるからだということが考えられるということについて説明しました。

それでは、事業を改善するにあたって、経営者や従業員が変化することを理解し、自ら変化することにしたとすれば、その際、経営コンサルタントは必要なのか、必要だとすれば、何をするのかという疑問を持つ方もいると思います。これは、裏を返せば、経営コンサルタントには、業況を改善する活動を、直接、担って欲しいと考える場合もあるということだと思います。

例えば、ある会社から依頼を受けて、ネット販売で売上を増やす専門家や、銀行に融資の交渉をする専門家はしばしば見かけます。そのような方たちの仕事に問題はありませんが、それはコンサルティングではなく、事業の一部の代行です。そもそも、コンサルティングという意味は専門家に相談するという意味なので、自社の事業の一部を代わって行ってもらうことは、コンサルティングを受けるということではありません。では、事業を改善するにあたって、専門家に事業の一部を代行してもらうことに問題があるのかというと、それは問題はないと思います。

ただし、頼り過ぎることは問題だと思います。極端な例ですが、売上の半分以上を営業代行の会社が獲得しているとしたら、その会社は自主的な経営はできなくなってしまうのではないかと思います。定型的な業務で、かつ、コストを下げる効果があるものであれば、専門的な会社に請け負ってもらうことは望ましいと思いますが、販売活動や、人材育成活動など、事業活動の中核的な部分は、外部専門家の支援を受けることがあるとしても、会社が主体的に行わなければ、会社として成長したということにはならないと思います。

そして、表現方法が上から目線のようになって恐縮ですが、老子が「人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、釣り方を教えれば一生食べていける」という言葉を残しているように、経営コンサルタントの役割は、顧問先の会社に魚の釣り方を教えることだと思っています。ちなみに、私がこれまでお会いしてきた業績のよい会社経営者の方の多くは、上手に経営コンサルタントを活用しています。

特に、この会社は業績がよいから、コンサルティングを受ける必要はないのではないかと思えるような会社ほど、熱心にコンサルタントから学ぼうとしています。逆に、業績があまりよくなくて、コンサルティングを受けた方がよいと思われる会社ほど、コンサルティングを受けたがらないようです。話しを戻すと、事業を改善するには、自社の能力を高めることが最短の方法であり、そのためには、外部の専門家から学んで、それを自社で習得していくことが鍵になると私は考えています。

2026/1/10 No.3314