[要旨]
事業改善には、新たな経営戦略の策定と実行、新たな情報システムの導入などを行いますが、それにともない、改善活動を行う従業員も変化を受け入れる必要があるのですが、その変化のための働きかけは忘れられがちであったり、または、経営者が必要とわかっていても、それをコンサルタントに行わせようとすることがあり、それでは事業改善はうまくいかないので、組織への変化の働きかけは、経営者自身が先頭に立って行うことが欠かせません。
[本文]
前回は、コンサルタントが、顧問先の従業員から、「現場を理解していない人の提案を受けることはできない」という主張を受け、対立することがありますが、そのような主張は現状を変えたくないという考えによるものであり、従業員がそのように考えていると、コンサルティングを受けることは無意味になってしまうということに注意が必要ということについて説明しました。では、なぜ、従業員の方が現状を変えたくないと考えている状況にあるにもかかわらず、経営者がコンサルタントに事業改善の支援を依頼することが起きるのでしょうか?
まず、当然のことながら、経営者と従業員では役割が異なり、経営者は、経営の最終的な責任者として会社を経営する役割を担っており、事業活動全体を俯瞰するポジションにいる一方、従業員は事業活動の現場にいることから、両者では考え方が異なることは仕方がないという面があります。だからといって、両者は対立関係ではなく、お互いの立場を尊重し、全体としてよい方向に活動ができるようにすることが望ましいということは言うまでもありません。そして、多くの場合、コンサルタントへのコンサル手イングの依頼は、経営者の意向で行われます。
そして、コンサルティングを受けることは、事業を改善するための手段のひとつであることから、従業員の方も能動的に活用することが望ましいと言えます。一方で、人は現状を変えたくないと考えることもあるので、その気持ちが強いと、従業員とコンサルタントの間で対立が切ることがあります。ところが、従業員が変化を受け入れるか、それとも反発するのかは、多くの場合、予見できるものです。そうであれば、経営者はコンサルティングを受けようとする段階で、従業員が現状を変えること受け入れるかどうかを確認してからコンサルティングを依頼すればよいわけです。
しかし、そうではない状態で経営者がコンサルティングを依頼するのは、(1)事業の改善は、従業員が変化しなくても可能だと考えている、(2)事業の改善にあたっては従業員も変化してもらわなければならないと思うが、その労力は大きいので、コンサルタントに従業員を説得して欲しいと考えている、という理由が考えられます。このうち、(1)の理由についてはほぼ不可能であり、仮に、外部経営環境が追い風になれば、従業員が変化しなくても業績は改善すると思いますが、そのような状況になれば、そもそも事業改善のためにコンサルティングを受けようとは考えないでしょう。
(2)については、経営者の姿勢が無責任であり、いくらコンサルタントが従業員に変わることの大切さを力説したとしても、「コンサルタントは厳しいことを言っているけれど、社長はそうは言っていなので、無理してコンサルタントの言うことをきかなくてもいいのではないか」と考えるでしょう。もちろん、従業員が変化を受け入れるためには、コンサルタントもそのための働きかけに注力しますが、経営者が変化することに努力する姿勢を見せなければ、従業員は社長以上の努力をしようとしないので、事業改善は失敗するでしょう。
ここまでの内容をまとめると、事業改善には、新たな経営戦略の策定と実行、新たな情報システムの導入などを行いますが、それにともない、改善活動を行う従業員も変化を受け入れる必要があるのですが、その変化のための働きかけは忘れられがちであったり、または、経営者が必要とわかっていても、それをコンサルタントに行わせようとすることがあり、それでは事業改善はうまくいかないので、組織への変化の働きかけは、経営者自身が先頭に立って行うことが欠かせないということです。この続きは、次回、述べたいと藻います。
2026/1/8 No.3312
