鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

問題を発見し解決するだけの会社にする

[要旨]

ネッツトヨタ南国の相談役の横田英毅さんは、同社を、問題を発見し解決だけをしていればよく、問題対処を一切しなくてのよい会社にしたいと考えているそうです。これは、プロセスの改善を行うことによって、問題を起こすことなく、製品やサービスを提供できるという、プロセスアプローチの考え方によるものと思われます。


[本文]

今回も、前回に引き続き、ネッツトヨタ南国の相談役の横田英毅さんのご著書、「会社の目的は利益じゃない-誰もやらない『いちばん大切なことを大切にする経営』とは」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、横田さんによれば、同社では、営業スタッフの売上げが上がらないのは、本人の責任ではなく、上司とその指導法に問題があると考えており、そこで、同社では、営業スタッフは営業活動の内容を記録し、それを上司が見て、改善点はどこかを質問することで、営業スタッフが改善点に気づくように働きかけているのと同時に、上司も適切な指導法を習得していくということについて説明しました。

これに続いて、横田さんは、ネッツトヨタ南国を「問題解決」だけをする会社にしたいということについて述べておられます。「不況下でも業績を上げているということで、ここ数年、新聞や雜誌、テレビの取材を受けることが多くなりました。その際に必ずといっていいほど聞かれる質問が、『将来はどんな会社にしたいですか?』というものです。私の答えは、『問題を発見し解決だけをしていればよく、問題対処をいっさいしなくていい会社にしたい』というものです。解決すベき問題は、常に川上にあります。その間題を解決していないから、川下で問題が表面化します。

原理原則に照らして本質を見極め、表面化する前の川上にある問題解決に常に取り組むようにすれば、川下で表面化した問題をどうにかしようとする問題対処をしないですむわけです。問題の根本を解決する姿が常態化している会社にしたい--これが私の願いです。『問題解決をするだけの会社』になると、わが社はどのような姿になるでしょうか?まず、車をすぐ買ってくれそうなお客様を探す仕事がゼ口になりますから、販売促進や広告宣伝が不要になります。すると、営業スタッフはお客様満足を生み出すための仕事が全体の90%を占めるようになり、残りの10%は、契約書作成などの定型的な業務になります。

こうなると、外から見ると何を売っている会社かわからなくなるかもしれません。このレベルに達すると、レストランやホテルなど、どんな業種に転換したとしても高い水準のサービスを提供できる会社になるでしょう。会社のもてる力のほとんどを、お客様満足に集中できるのですから、当然です。しかしわが社では、問題対処がまだゼロではありません。長年、さまざまな問題解決に取り組んできましたが、まだまだすベてを解決できていないのが現状です。問題対処は、必要に迫られて仕方なく処理する仕事ですから、あまり面白くありません。これをゼロにすることが、重要な課題だと私は考えています。

そのためには、社員一人ひとりが、いつも問題の種を探しでいる姿勢を身につける必要があります。問題が表面化してから解決策を考えるのではなく、問題の芽を発見し、常に摘み取るような状態にしておくのです。わが社の社員は、問題解決にはだいぶ慣れてきましたが、まだまだ50%ぐらいでしょう。100%問題の種や芽を探し出すところまで成長するのはこれからです。そういう意昧で、わが社にはまだまだ伸びシロがある。すなわち、『全社員を人生の勝利者にする』ためにできることがもっとある。こう考えて、日々の仕事に注力しているのです」(217ページ)

横田さんは、「問題を発見し解決だけをしていればよく、問題対処をいっさいしなくていい会社にしたい」と考えていると述べておられます。この横田さんの指す「問題解決」とは、「問題が表面化する前の芽を摘むこと」、「問題対処」とは、「問題が表面化してから処理すること」ということだと思います。これは、横田さんがご存知なのかどうかは分かりませんが、横田さんの考え方は、ISO-9001の考え方と同じであると、私は感じました。

そのISO-9001の基本的な考え方とは、「よい品質の製品やサービスは、工程を管理することによって生産されたり提供されたりする」(これを「プロセスアプローチ」といいます)というものです。すなわち、横田さんのいう、「問題の芽を摘む」という取り組みは、「工程の管理」にあてはまると私は考えています。例えば、ネッツトヨタ南国では、顧客データベースを充実させており、乗ってきた自動車のナンバーを見た従業員の方は、インカムで誰がどんな用件で来店したかを連絡するそうです。そこで、出迎えた従業員の方は、来店した顧客に、「ようこそ○○様、本日はオイル交換でご来店ですね」と伝えることができるそうです。

その他に、顧客ごとに、前回の来店時に飲んだ飲み物や、子どもが見たビデオも記録しているので、きめ細やかな接客ができるようにしているそうです。こうしたプロセス管理をしていれば、サービスの質も高くなるということは、誰でも容易に理解できると思います。私は、先ほど、ISO-9001について説明しましたが、ISO-9001を導入する意義は、よいプロセスが整って入れば、よい製品やサービスを提供できるようになるという点です。もし、よいプロセスが整っていなければ、よい製品やサービスは、従業員個人のスキルに頼ることになります。

また、プロセスが改善されないままであれば、1度起きた問題が何度も起きることになります。いずれにしても、よい製品やサービスの提供は、プロセスをよくすることであるということはご理解いただけると思います。そして、よいプロセスを整備していけば、競争力が高まり、業績を向上させるわけですが、これもネッツトヨタ南国の業績が証明しています。さらに、私は、端的に述べれば、競争力を高めるためには、ISO-9001を導入することをお薦めします。私がISO-9001の導入をお薦めするもうひとつの理由は、ISO-9001の規格の完成度が高いからです。

プロセスの改善は、自力でも実践できますが、自力でプロセスの改善をするよりも、完成度の高いISO-9001を、ISO-9001のコンサルタントの助力を得ながら導入する方が効率的、かつ、迅速にプロセスを改善できます。ただ、いきなりISO-9001を導入するのは難しそうだと考える経営者の方は、QCサークル活動によって、マニュアルの整備を進めることから始めることをお薦めします。そして、その効果を感じられるようになってから、ISO-9001の導入をするという段階をとれば、プロセスの改善を円滑に進めることができるでしょう。

2025/11/8 No.3251