鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

高価格商品投入は利益を得るための王道

[要旨]

経営コンサルタントの長谷川和廣さんは、ニコン・エシロールの建て頂しをしていたとき、業界1位の会社が価格競争に参入してきたころから、内心、「しめた!」と思ったそうです。そして、社員たちの反対を押し切り、あえて高付加価値高価格の商品を市場に投入したところ、その商品は大ヒットし、業績を一気に回復したそうです。これは、高価格商品は利益率が高いという商売の王道を歩んだからだということです。


[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの長谷川和廣さんのご著書、「2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、長谷川さんよれば、ジャッジメント(判断)とは情報を十分に検討して、正しい答えを導き出すことであり、デンジョン(決断)とは検討の結果を踏まえて、どの道を選ぶかを決することであり、欧米のビジネスパーソンの戦略が論理的で紋密なのは、この2段階構造が文化に根付いているからであることに対して、日本のビジネスパーソンはディシジョンの概念を持ち合わせていないことから、判断に時間をかけずに、決断で迷ってしまうケースがかなり頻繁に起こっているということについて説明しました。

これに続いて、長谷川さんは、付加価値の高い商品を販売することが大切ということについて述べておられます。「(主に眼鏡レンズを製造している)ニコン・エシロールの建て頂しをしていたときのこと、当時、眼鏡業界では極端な値引き合戦がありました。特に業界1位のA社がこの競争に参入し、値引きを始めたという情報に、重役以下社員全員が青い顔をしていました。

しかし、そのとき私は内心、『しめた!』と思っていたのです。社員たちの反対を押し切り、私はあえて高付加価値高価格の商品を市場に投入したところ、その商品は大ヒットし、業績を一気に回復させました。他社も含めて用囲の目は、私の奇策が当たったと見たことでしょう。しかし、実は私は商売の王道を歩んだだけなのです。高価格商品は利益率が高く、安価な商品と同じ売り上げでも利益が大きい。この原則を忘れ、安売り合戦をすることのほうこも私から見れば奇策なのです」(84ページ)

よく、経営改善のノウハウ本に、「販売価格を引き上げる」という方法が書かれていることがあります。だからといって、自社製品の価格を引き上げさえすれば、ニコン・エシロールのようにうまくいくというほど単純なことではないということも事実だと思います。ただ、ニコン・エシロールの場合、ライバル社が価格戦略を実施したので、ニコン・エシロールが非価格戦略を実施しやすくなり、それを長谷川さんは「しめた!」とお考えになったのだと思います。

ただ、この価格の引き上げ策を奏功させる方法については、相当の量の説明が必要なので、ここでそれを記載することは割愛しますが、少なくとも、業界2番手、または、3番手以下の会社が価格競争をすることはあまり得策ではありません。特に、中小企業では、価格競争は自社を著しく疲弊させてしまうということに注意が必要です。ですから、中小企業経営者の方は、どうすれば自社製品の価格を引き上げることができるのかということを、常に念頭において事業に臨むことが大切だと、私は考えています。

2025/8/25 No.3176