[要旨]
経営コンサルタントの長谷川和廣さんは、中途採用者の採用面接のときは、成功体験があるかと、失敗体験があるかの2つを重視しているそうです。特に、失敗体験を重視する理由は、失敗しないように日々過ごしている人に大事な仕事を任せるくらいなら、失敗で痛い思いをした人にやらせるほうが、はるかに安心だからだということです。
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今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの長谷川和廣さんのご著書、「2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、長谷川さんによれば、働き方改革が注目されている中で、「長時間働くことは悪」などと誤解している若者が多いそうですが、抜きん出た結果を出すには努力が必要不可欠であり、若いうちから努力をする忍耐力を身に付けることは重要だと言うことについて説明しました。
これに続いて、長谷川さんは、失敗から学ぶことの大切さについて説明しておられます。「転職者の面接をするとき、私が初めに重視するのは『成功体験があるかどうか』です。しかし、2つ目の採用基準は『失敗体験があるかどラか』。可もなく不可もない人はまず採用しません。昔のホンダには『失敗表彰』という制度があったそうです。最もすごい失敗をした人には賞金が贈られたというくらいです。これは決してジョークではありません。
なぜ、そんな制度があったか?私は2つの理由があると思います。1つは失敗を恐れずにチャレンジする人材を育てるため。もう1つは、そのやり方ではうまくいかないという証明を得ること。つまり、「1度した失敗は2度としないですむ」というわけです。私が失敗経験のある人を評価するのはまさにこの2点。失敗しないように日々過ごしている人に大事な仕事を任せるくらいなら、失敗で痛い思いをした人にやらせるほうが、はるかに安心だからです」(63ページ)
「失敗は成功のもと」という格言を知らない人はいないと思いますし、また、失敗しなければ成長できないと考える人も多いと思います。ところが、ビジネスの場において、実際には失敗を避けようとする人は少なくないと思います。そうなってしまう最大の要因は、多くの職場では、加点主義ではなく減点主義、すなわち、失敗したことがその人の評価に大きく影響してしまうからだと思います。だからこそ、ホンダでは「失敗表彰」というものがあるのでしょう。
でも、経営者の方の中には、「自社で『失敗表彰』を導入したらとんでもないことになる」と考える方が多いのではないでしょうか?なぜなら、部下がたくさん失敗をしたら、自分はその失敗の対応に追われたり、会社の実害が増えてしまうからです。確かに、部下の失敗によって、会社に損害が発生してしまうことはあると思います。しかし、その一方で、部下たちが失敗を恐れて能動的な活動をしなことによる、表面化しない逸失利益の方が、失敗による損害よりも大きいかもしれません。
それに、初めに戻りますが、減点主義より加点主義の方が、部下の成長は速くなります。そう考えれば、経営者の方は、部下の失敗をよろこび、その対応を進んで行うことが大切だと思います。とはいえ、頭ではそれを理解できても、部下の失敗をよろこんで受け入れるということは、実際には難しいかもしれません。ですから、まず、経営者自身が大きな自信を身に付けることが、会社や部下を成長させる鍵になると、私は考えています。
2025/8/18 No.3169
