[要旨]
経営コンサルタントの長谷川和廣さんによれば、働き方改革が注目されている中で、「長時間働くことは悪」などと誤解している若者が多いそうですが、抜きん出た結果を出すには努力が必要不可欠であり、若いうちから努力をする忍耐力を身に付けることは重要だと言うことです。
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今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの長谷川和廣さんのご著書、「2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、長谷川さんによれば、競争が激化すると、コスト削減を行おうとする会社が現れますが、これは誤りで、最大の利益を得るために必要な投資を最大限に行わなければならないということについて説明しました。
これに続いて、長谷川さんは、我慢の大切さについて述べておられます。「昨今、『働き方改革』が注目されていますが、『長時間働くことは悪』、『自分に合った仕事をすべき』などと誤解している若者が多いように感じます。しかし、抜きん出た結果を出すには努力が必要不可欠ですし、そもそも自分にぴったり合う仕事など存在しません。以前、入社3年目だった若手の部下から聞いた話です。
彼が学生時代、大学のサッカー部のキャプテンに『先輩のように何キロもバテないで走れるようになるには、どうすればいいですか?』と質問しました。そのとき、先輩はたったひと言、『何事も我慢でしかないよ』と答えたそうです。そんな彼は若い年代には珍しく、休日出勤も厭わずにがむしゃらに働く男でした。彼のこの頑張りの原点は、先輩から教えられた『我慢強さ』にあったのでしょう。予想どおり、彼はその後、最年少で部長になりました。若いうちからスキルを磨くことも大切ですが、まずは『我慢強さ』を身につけてほしいと思ったエピソードです」(54ページ)
私も、よい成果を得るためには、我慢強さが大切だと思います。例えば、サッカー部のキャプテンの事例のように、持久力を身に付けるには、それなりの練習に耐える我慢強さが必要であることは、多くの方がご理解されるでしょう。その一方で、長谷川さんが、「『長時間働くことは悪』、『自分に合った仕事をすべき』などと誤解している若者が多い」とご指摘しておられるように、我慢することを否定的に考えている人もいるようです。
仕事にどれくらいの努力をするかということは人それぞれですが、そもそも、我慢させられることはよくないことと考えてしまえば、個人の能力を高めることはできず、それは、従業員や会社の双方にとって不幸なことになると思います。ただ、私は、経営者側が従業員に我慢を求めるだけではいけないと考えています。
私事で恐縮ですが、私が会社勤務時代の職場環境は、いわゆる「ブラック」の状態でした。(とはいえ、1990年代の日本の会社は多かれ少なかれ、そういう会社はあったと思います)私はなんとかそれに耐え、ある意味、フリーランスとなったいま、その忍耐力が役立っているという面はあります。ただ、納得できないのは、我慢した結果、会社がよい方向に向かったのかといえば、会社は実質的な倒産に至りました。
ちょっと生意気な表現で恐縮ですが、私が職場で我慢を強いられたのは、経営者の未熟さの尻拭いだったのであり、報われない我慢だったと思っています。ですから、経営者の方が従業員の方に我慢を求めることは、従業員の方の成長のためには当然のことなのですが、それと同時にその努力が報われるものにする責任が経営者にはあると、私は考えています。
2025/8/17 No.3168
