鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

売上は回収し利益を確定するまでが原則

[要旨]

経営コンサルタントの長谷川和廣さんによれば、販売代金が入金になったときは、お客様にお礼のひとことを伝えるべきということです。なぜなら、売上は現金化して初めて利益が確定するからであり、もし、営業マンが回収のことを考えずに、売上の数字を多くすることに力を入れるようになると、それは、必ずしも会社の利益を増やすことになるとは限らないからということです。


[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの長谷川和廣さんのご著書、「2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、長谷川さんは、かつて、外資系企業で働いていたとき、ある食品関連会社のマーケティングを担当し、何度も企画を練り直した結果、その商品は大ヒットしましたが、その後、長谷川さんに次から次に舞い込むようになり、そのときから、「仕事の報酬は仕事」という言葉を確信したということについて説明しました。

これに続いて、長谷川さんは、販売代金が入金になったときは、お客様にお礼のひとことを伝えるべきということについて述べておられます。「嘆かわしいことに、大切な入金に、お礼一つ言わないような無頓着な営業マンが増えています。これはオンラィン決済が普及したことが要因だと私は考えます。ひと昔前は営業マン自身が売掛金の回収に出向くのが普通で、皆が入金の重要性を理解していたし、先方の懐具合もつかむことができたのです。

ところが、オンライン決済が当たり前になったことや組織の効率化によって販売と売掛金の回収の担当が別という会社が増えたせいで、『仕事は入金の約束を取りつけるまで』と考える営業マンが激増しています。そうなると、回収のことを考えずに、売り上げの数字を多くすることに力を入れるようになってしまいます。多少支払いが遅れても、数字を上げれば成績が上がる、という錯覚に陥ってしまいがちになるのです。『売り上げというものは現金化して初めて売り上げになり』というビジネスの大原則を忘れないでください」(44ページ)

念のために言及しますと、会計の考え方では、売上(利益)をいつ計上するかというと、商品(サービス)を販売したタイミングです。販売したタイミングとは、多くは、商品を顧客に引き渡した時点(引渡基準)か、商品を顧客へ向けて出荷した時点(出荷基準)であり、いずれにおいても、販売代金が入金になったタイミングではありません。しかし、これは会計上の考え方であり、ビジネスの観点からは、長谷川さんがご指摘しておられるように、「現金化して初めて売上になる」という考え方を忘れてはならないと、私も考えています。

というのも、顧客から見れば、購入代金を支払うというのは、受け取った商品に、少なくとも不満がないという意思表示だからです。もし、購入した商品に不満があれば、代金を支払わないか、支払う前に不満を伝えるといった何らかのアクションを起こすでしょう。そこで、長谷川さんは、販売代金が入金になったこに対して、お礼を言うべきと述べておられるのでしょう。

また、販売代金が入金にならなかった時、そのことも問題ですが、その原因は、商品に何らかの問題や不満があるか、または、顧客の資金繰が悪化したかのどちらかが考えることができます。原因が前者の場合、それは顧客との円滑な関係を維持するためには、直ちに不満や問題に対処し、販売代金を回収しなければなりません。これは、利益を得ることが役割の営業マンとして大切なことです。もし、自らが販売した商品に対する顧客の不満や問題を放置すれば、それは顧客だけでなく、会社に対しても迷惑をかけることになります。

原因が後者の場合、以後の取引に注意し、また、未回収の販売代金を回収するための対応が必要になります。こちらも、放置すれば、会社に迷惑をかけることになります。このようなことからわかる通り、営業マンは、販売代金が入金されたかどうかという情報を営業活動に活かさなければ、きちんと利益を増やすことに貢献しているということにはなりません。

2025/8/15 No.3166