[要旨]
中小企業診断士の佐藤義典さんによれば、製品が売れるかどうかは、ベネフィットだけでなく、マーケティングの4Pの一貫性も重要だと言うことです。例えば、吉野家の牛丼は、製品そのものだけでなく、駅前で、低価格で、迅速に提供するという4Pの一貫性があるから顧客から支持されているということです。
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今回も、前回に引き続き、中小企業診断士の佐藤義典さんのご著書、「ドリルを売るには穴を売れ」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、佐藤さんによれば、同じパン屋でも、クロワッサンを販売する店は「優雅なひととき」というベネフィットを提供し、サンドウィッチを販売する店は「時間の節約」というベネフィットを提供していることから、まったく異なる事業ドメインで活動をしていることになるということについて説明しました。
これに続いて、佐藤さんは、マーケティングでは一貫性が重要だということについて述べておられます。「4Pに限らないことだが、マーケティングで重要なのは『一貫性』だ。4Pの間での一貫性、そして4Pと戦略との一貫性だ。吉野家の牛井という『製品』が良いか悪いかは、それだけでは決められない。あの価格で、駅前で、あのスビードで提供されるからいいのだ。吉野家の牛井がデパートのレストランで3千円で提供されていたら、あなたは食ベるだろうか?
重要なのは一貫性だ。一貫性があれば、4Pは相互に絡み合って大きな力となる。まず、4Pの全体像としては、顧客が価値を実現して売り手がその対価を得る手段である。例えば野菜ジュースは、コンビニやスーパー、自販機という販路を通して顧客の手元に製品として届く。そしてその対価である『価格』は、同じく『販路』を通じて売り手に届けられる。販路という媒体を、『製品』(物流)と『お金』(商流)が流れるのだ。そして製品の価値を知らせるのが広告・販促だ。
この4つを別々に考えてはいけない。あくまで全体としてのセットなのだ。説明の都合から4Pを分けて説明してきたが、実は4Pは分けられないものなのだ。例えば、製品と価格は分けられない。『この製品が○○円だったら買う』というように、製品だけを見て顧客が買うか買わないかを決めることは少ないからだ。また、製品そのものが広告でもある。野菜ジュースという製品のパッケージも広い意味では広告だからだ。店頭でパッケージを比ベて決めることもあるだろう。
さらに、販路もある意味では広告だ。例えばブランドショップがそうなのだが、カルティエやルイ・ヴィトンはショップそのものが広告だ。価格そのものにも意味がある。100g千円の肉は、価格自体が高級であることを連想させる。また値下げキャンペーンのような『販促』もあるが、この場合は『価格』と『販促』が連動しているのだ。したがって、4Pをバラパラに考えるのではなく、一体化したものとして全体の一貫性を取ることが重要だ。売れている製品・サービスには、この一貫性があるはずだ」(162ページ)
佐藤さんは、吉野家の牛丼を例に挙げておられますが、吉野家の牛丼が支持されている理由は、商品そのものではなく、価格、店の場所、提供方法など、4Pに一貫性があるということも大きな理由だと、私も考えています。一方、4Pを実践しにくくなっているのがラーメン店で、「ラーメンは1,000円以内でなければならない」という業界での不文律が、いま、ラーメン店での課題になっています。
というのも、ラーメンはぜいたく品ではない庶民の食事という考え方を、多くの利用者が持っているので、原材料が値上がりしている中、それを価格転嫁し、1,000円以上のラーメンを販売すると、利用者が減ってしまうのではないかと考えている店も多いようです。ところが、これを逆手にとって、ヒットしたのがローソンの具なしカップ麺です。
やはり、ラーメンは節約したいときに購入して食べるものと考えている人が多いことがヒットの要因のようです。そこで、ローソンは、具を入れないことで価格を抑えた製品を開発したようです。これは、4Pがうまく噛みあわせることで成功したよい事例だと私は考えています。そこで、自社製品をヒットさせたいというときは、製品のベネフィットに加え、4Pの一貫性からも改良を検討することをお薦めしたいと思います。
2025/8/8 No.3159
