鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ブランドは顧客の頭の中でつくられる

[要旨]

ブランドの価値が高まる場合、それは、ブランドが会社の手を離れ、顧客の頭の中で生成され、記憶されていくことによるものです。一方、ブランドは会社がつくるものと考えている経営者の方も多いと思いますが、実際はそうではないということを認識することが、効果的なブランド戦略を実施するポイントになると考えられます。


[本文]

今回も、大阪ガスエネルギー・文化研究所の主席研究員の鈴木隆さんのご著書、「御社の商品が売れない本当の理由-『実践マーケティング』による解決」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。前回は、商品の市場は既存のものとして考えられがちですが、実際は、会社のマーケティング活動や顧客の購買行動などによって、社会的に構築されていくものということを説明しました。これに続いて、鈴木さんは、ブランドについても社会的に構築されていくということについてご説明しておられます。

「市場におけるブランドの価値も(中略)社会的に構築されながら浸透していくものにほかなりません。(中略)高級アイスクリームブランドとして大成功したのが、『ハーゲンダッツ』です。この名称には、欧米では乳製品が広く知られるデンマークのことばのような響きがあります。首都のコペンハーゲンとハーゲンの部分が同じだからです。ところが、実際は、米国ニューヨークに住むポーランドユダヤ人の移民でもある、ルーベン・マタスが、1961年に意図してつくった造語です。

そうとはつゆ知らず、舶来の本場のおいしそうなアイスクリームだと、多くの人たちに認識され、安売りをせず売り続けたことにより、高級アイスクリームブランドとして生成されていきました。いまや日本でも、大人の高級アイスクリームのブランドとして定着し、圧倒的なシェアを誇っています。ブランドの価値は、企業の手を離れ、顧客の頭の中で生成され記憶されていくので、自社の所有物のように思い通り変更することができなくなります」(232ページ)

ちなみに、「讃岐釜揚げうどん丸亀製麺」という看板を出しているも丸亀製麺も、直接的に香川県とは関係がないのですが、多くの方は讃岐うどんだと思って食べているのではないでしょうか?この、丸亀製麺香川県の関係についてはさまざまな意見があるようですが、ブランドは顧客の頭の中でつくられており、それが成功につながっているというよい事例だと思います。

しかし、ブランドに関しては、会社がつくるものと考えている方も多いのではないでしょうか?もし、ブランド戦略がうまく行っていないという会社の経営者の方は、ブランドは顧客の中でつくられているという視点から戦略を練り直すことで、改善のきっかけがつかめるようになるかもしれません。

2023/3/22 No.2289