[要旨]
スターバックスコーヒーでは、アラビカ種という、深い焙煎に耐える豆だけを、スターバックスローストと呼ぶ深煎りで焙煎するなど、非常にこだわった商品を提供することで顧客の共感を得ており、そのことが、商品のニーズを深めています。このような、こだわりの商品を開発することで、顧客のロイヤルティを高めることができるようになります。
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今回も、前回に引き続き、中小企業診断士の佐藤義典先生のご著書、「図解実戦マーケティング戦略」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。前回は、商品のニーズのニーズの広さと深さに応じて、適切なマーケティング戦略を行うことで、高い効果を得ることができるようになるということを説明しました。これに続いて、佐藤先生は、それらの戦略の具体例についていくつか説明しておられますが、それらの中から、今回は、スターバックスコーヒーの事例について紹介したいと思います。
「スターバックスが、それまで『安くて早くてそれなりにうまい』低価格コーヒーのニーズを一気に深めて、『スターバックス党』、『エスプレッソ党』を育てました。1つのポイントは、商品そのものに非常にこだわった、ということです。スターバックスは、豆、そして、ロースト(焙煎)にこだわっています。アラビカ種という、深い焙煎に耐える豆だけを、スターバックスローストと呼ぶ深煎りで焙煎します。素材、産地、製法などにこだわった商品を出し、それを顧客に伝えれば、顧客がそれを誇りに思ってくれます。その結果、『自分はそんなにこだわった商品の味がわかる、高級な顧客なんだ』と満足・共感し、ニーズが深まるのです」(163ページ)
これと似たような事例としては、成城石井のスイーツがあげられます。成城石井では、自社開発したチーズケーキを看板商品とて製造販売し、同社のファンを増やしています。さらに、このような自社開発の商品を横展開し、スイーツやピザなどに広げ、同社の業績を伸ばしています。ひとつの看板商品がおいしければ、その店の他の商品も評価されることになるので、こだわりのある商品を開発することは、とても効果が高いと言えます。もちろん、そういった強力な商品を開発することは容易ではありません。しかし、経営資源の小さな中小企業であっても、看板商品があれば、大企業ともその分野では互角に戦うことが可能になると考えることができます。
2023/2/6 No.2245