鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

売上の構造に対応したマーケティング

[要旨]

同じ売上高でも、それは、少数の顧客がリピート購入しているのか、1~2回しか購入しない顧客が多数いるのかによって、マーケティング戦略が異なるので、自社の売上は、どのような構造になっているのかを把握することが重要です。したがって、売上の構造を把握するための、詳細なデータを収集するための体制を整えることも大切です。


[本文]

今回も、前回に引き続き、中小企業診断士の佐藤義典先生のご著書、「図解実戦マーケティング戦略」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。佐藤先生は、ビジネスパーソンがよく使う言葉の「ニーズ」について、「構造」を知ることが大切ということをご説明しておられます。「1万円の商品で1,000万円の売上がある場合、1,000人の人が1回ずつ買う場合と、10人の人が100回ずつ買う場合では、ニーズの『構造』、つまり、お客様の購買行動がまったく異なります。

つまり、『ニーズの大きさ』を計測するだけでは、ニーズを正確に把握することにはならないので、マーケティング戦略を適切に行うためには、この、ニーズの『構造』も把握しなければなりません。10人の顧客が、商品を100回買う場合は、少数の顧客が売上のほどんどを支えるある種の通販などが該当します。この場合、少数のお客様を特別扱いし、お客様の属性を知り、なぜ、買っていただいているのかを把握するのが通例です。

そして、あと10個ずつ買ってくれるようにするにはどうするかを考えます。実際、ニッセンなどの通販会社では、優良顧客には特別なカタログを送るということをしています。逆に、1,000人が1個ずつ買ってくれるような商品もあります。例えば、携帯電話を、1人で2台使うことは、会社用と個人用を使い分ける場合などを除けば、ごく希でしょう。このようなときは、いかにして1,000煮ん、1,200人としていくかを考えることになります」(136ページ)

佐藤先生のご指摘のとおり、同じ売上高でも、それは、少数の顧客がリピート購入しているのか、1~2回しか購入しない顧客が多数いるのかによって、マーケティング戦略が異なるということは、当然のことです。ただ、引用の事例のような、通信販売会社や携帯電話販売店の場合、扱っている商品だけでどのようなマーケティング戦略が有効であるかは分かかりますが、一般的な会社は複数の商品を販売している会社が多いので、顧客属性、客単価、購入頻度など、より詳細なデータが分かれば、より有効な戦術を実践することができます。

引用事例のニッセンの場合、購入額や購入頻度に応じて優待することで、さらに販売額を増やす働きかけを行い、顧客シェアを高めるという戦術を実践しています。したがって、「販売額」という財務会計のデータだけでなく、客単価、購入頻度、顧客属性などいった管理会計のデータを収集し、「売上の構造」を把握することは、効果的なマーケティング戦略を実践するためには欠かせません。

2023/2/3 No.2242