[要旨]
潜在顧客から、実際に商品を買ってもらえるようにするためには、認知してもらう、興味をもってもらう、競合する商品と比較してもらうなどの流れをつくり、その過程で止まることのないようなものになっているか検証することが必要です。この場合、流れの途中で顧客の心の動きが止まるようなところがないか、すなわち、もれがないかを検証することが重要です。
[本文]
今回も、前回に引き続き、中小企業診断士の佐藤義典先生のご著書、「図解実戦マーケティング戦略」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。佐藤先生は、「お客様から見て、(自社の製品の販売の流れの)問題がどこにあるのか、お客様がどこで(購買行動を)止めてしまうのかを、体系的にモレなく考えていく手法」として、佐藤先生が開発された、マインドフローをご紹介しておられます。「マインドフローは、お客様の心の動きのながれという意味で名付けました。川の流れのように、無理なく、強制することなく、自然にお客様に動いていただけるように、という思いもこめられています。(もし、自社商品にうれないものがあるとき)お客様は、なぜ、あなたの商品を買わないのでしょうか?
お客様の視点から見ると、知って、興味を持って、買って、使って、満足するといういくつかの関門をこえたときに『だけ』、あなたのファンになります。お客様は、このどこかの関門で止まっているときには、あなたの商品を買いません。あなたの商品をしらなければ、買わないでしょうし、在庫切れでも買わないのです。1か所でも(お客様の心が)進みにくいところがあれば、お客様の心はそこで止まってしまうのです。(中略)(お客様の心が)どこで止まっているのかがわからなければ、対策を行うことができます。(中略)(そこで)マインドフローを使うことで、どこで止まっているのかを、体系的に把握したり追跡したりできるようになります」(96ページ)
佐藤先生は、別のところで、「このツールが必要な理由は、マーケティングの知識・経験が豊富な人ほど、商品・サービスを売る側の視点が染みついており、ついつい、お客様の視点を忘れがちになる」とご指摘しておられます。私も、中小企業の事業改善の経験から、佐藤先生のご指摘しておられるような事例を、しばしば、見て来ました。例えば、これも佐藤先生が別のところで述べておられますが、商品の機能や価格などを知りたいのに、会社のホームページを見てみると、動画が映し出され、知りたい情報までなかなかたどり着けなかったり、または、そもそも、商品の情報が記載されていないということがあったりします。
そういう佐藤先生ご自身も、事務所のホームページのURLを、当初は、文字数の多いものにしていたそうです。しかし、これは、覚えてもらいにくい、入力するときに間違いが起きやすいということから、後から、文字数の少ないものに変更したそうです。このように、自社や自社の商品に関心のある潜在顧客から、商品を実際に購入してもらうまでのフローについて、正しいかどうかではなく、もれがあるかないかという視点で検証するだけでも、結果が変わってくるのです。繰り返しになりますが、売る側は、正しいかどうかで事業活動を見てしまいがちですが、それだけではなく、もれがあるかないかという視点からの検証を行うことは、大きな労力をかけることなく、成果を変えることが期待できます。
2023/2/2 No.2241