鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

グループメールでベクトルを一致させる

[要旨]

八天堂では、かつて、社長と社員全員の間で、グループメールを使って、コミュニケーションを活発にしていました。その結果、社員の結束力が強まり、同社の事業回復の要因になりました。現在は、従業員の士気が業績に大きな影響を与える時代であることから、ITツールを活用し、コミュニケーションを活発にすることは、とても重要です。


[本文]

今回も、八天堂の社長、森光孝雅さんのご著書、「人生、今日が始まり『良い品、良い人、良い会社つくり』への挑戦」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。同社では、業績を回復させていく過程で、グループメールを活用したことがあったようです。「以前の話ですが、1年半くらい、90名の社員全員と、グループ化した電子メールを活用して、やり取りをしたことがありました。グループメールを使うと、1人が送った1通のメールが、グループに登録している、当社社員全員に届きます。(中略)まず、朝に、私から90名の社員にグループメールを送信します。

(メールの中には)前日の出来事とその所感を書いたり、歴史の話を書いたり、毎日、さまざまな話題を取り上げて送っていました。これに対して、90名の社員全員が、その日のうちに返信し、各々の感想や意見を述べたりします。(中略)これを行った1年間は、後で思えば、社員たちとの非常に濃密な時間だったように思います。(中略)グループメールで社員たちとコミュニケーションを取り続けたことで、それまで以上に意思の疎通を図ることができ、それを通して社員の成長を感じました。(中略)いわば、全社員の『ベクトルが一致した』と言えるような感覚でした。また、同時に、社員たちが自主的にコミュニケーション能力や、メールの文面の作成技術を高めてくれたとも考えています」

組織の3要素は、「共通目的」、「貢献意欲」、「コミュニケーション」ということは広く知られていますが、そのひとつのコミュニケーションを確保することは、会社の組織が大きくなるにつれ、難しくなっていくことが多いようです。でも、八天堂では、電子メールでのやり取りとはいえ、コミュニケーションを活発にしたことによって、従業員の方たちの士気が高まっていったようです。私は、最近は、より高度な経営戦略が必要とされつつあるからこそ、それを実践する従業員の方の能力も高めなければならなくなってきていると思います。だからこそ、従業員の方の成長をうながすためにも、八天堂のように、ITツールによってコミュニケーションを活発にすることは、ますます重要になっていると考えています。

2022/10/22 No.2138