鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

月次での改善策実施がV字回復の鍵

[要旨]

八天堂では、倒産の危機に立ってから後、毎月、15日に完成する前月の財務諸表に基づいて、改善点を分析し、それに対処するという基本的な活動を行っています。こうすることで、より正確な改善策を迅速に実践できるようになり、それが、同社の業績のV字回復の大きな要因になっていると考えることができます。


[本文]

今回も、八天堂の社長、森光孝雅さんのご著書、「人生、今日が始まり『良い品、良い人、良い会社つくり』への挑戦」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。「当社では、毎月15日に、前月分の損益計算書貸借対照表が届くようになっています。以前、大失敗する前、私は、これらをいい加減にしか見ていませんでした。その後、一度、倒産しかけてから、銀行で徹底的にレクチャーを受けたおかげで、数字をしっかりと見ていかなければいけないことがよくわかりました。

数字には、『それまでの取り組みの結果』が現れます。数字を綿密に分析して、いろいろな判断を下し、『これからやらなければいけないこと』を見つけて、素早く適切に対処していくことが重要です。さらに、当社は、各店の売上の日次決算を実施しています。これにより、数字による課題を迅速に発見することができるようになりました」

同社では、毎月15日に、前月の財務諸表を見て業績管理をするという、基本的な活動をしています。すなわち、森光さんは、過去の業績を分析して、さらに将来に向けて何をすべきかを判断し、それを実践するということを、毎月、繰り返えすことで、業績を伸ばしてきました。このような活動のポイントは、財務諸表に基づいて改善策を実践することと、それを、毎月、実践するということです。こうすることで、より正確な改善策を迅速に実践することができるわけです。

これは、当たり前のことのように感じられますが、月次決算を行っていなかったり、行なっていても経営者の方が見ていなかったりすれば、正確な改善策を迅速に実践していないことになります。さらに、日本の中小企業では、かつての八天堂ように、月次決算を改善活動に活かしていない会社は90%もあると言われています。これは、裏を返せば、月次決算を活用し、毎月、改善活動を行なえば、現在は業績が悪くても、八天堂のようにV字回復業することが可能になるとも言えます。したがって、業績がよい会社と悪い会社の違いは、何か特別な違いがあるということではなくて、月次での改善活動を実践しているかどうかという、単純なことなのではないかと、私は考えています。

2022/10/19 No.2135