鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コストコと業務スーパーは競合しない

[要旨]

コストコ業務スーパーは、大きいサイズの商品を低価格で販売しているという点で共通していますが、コストコは富裕層を、業務スーパー低所得者層を標的にしており、競合していないようです。これは、両社のポジショニングが異なっているということができますが、このポジショニングを明確かすることで、標的顧客の需要を喚起することができます。


[本文]

経営コンサルタント鈴木貴博さんが、ダイヤモンドオンラインに、コストコ業務スーパーに関する記事を寄稿しておられました。コストコも、業務スーパーも、大きめのサイズの食品を、低価格で販売しているという点で共通しています。しかし、鈴木さんは、両社は競合していないと考えておられるようです。その理由は、まず、コストコは、PB商品以外は、有名ブランドの商品を販売しており、また、年会費を4,840円を顧客から徴収するなど、富裕層、中流層を標的にしている。

一方で、業務スーパーは、低価格の冷凍野菜に人気があるからもわかるとおり、生活費を節約したい低所得者層を標的にしている。したがって、コストコが食料品を値上げしても、業務スーパーに顧客が流れることはあまり起きないということです。私も、この、鈴木さんの分析は正しいと思います。(ただし、両社が意図して、お互いを意識して、棲み分けをしているのかどうかはわかりませんが…)このような、標的顧客を絞り込むことは、ポジショニングといいますが、鈴木さんの記事を読んで、ポジショニングの重要性を改めて感じました。

ちなみに、他社の例として、ワークマンの業績が好調な理由も、同社が、ポジショニングによって、「4,000億円の空白市場」を発見したからと言われています。具体的には、アウトドアウェアなどの機能性の高い商品を、低価格で販売する販売店は、「ワークマンプラス」が登場するまでは存在しなかったそうです。そして、ワークマンがアウトドアウェアを販売するようになってから、この分野は400億円の売上が得られたそうです。このように、ポジショニングによって顧客の需要を喚起するという例が、最近は増えているように思います。いま、売上が増えずに苦心している会社の経営者の方は、ポジショニングをヒントにすると、打開策が発見できるかもしれません。

2022/9/11 No.2097