鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コメダ珈琲店は駐車場から店舗設計する

[要旨]

コロナ禍にあっても、コメダ珈琲店は業績を伸ばしていますが、それは、駐車場から店舗設計することで、顧客が来店しやすくしているからのようです。このように、現在は、飲食店であっても、商品そのものよりも、利用しやすさなどの、総合的な観点での競争力強化が求められています。


[本文]

先日、東洋経済オンラインに、チェーンストア研究家の谷頭和希さんが、コメダ珈琲点が業績を伸ばしている要因に関する記事を寄稿していました。谷頭さんによれば、ファミリーレストランすかいらーくが、ロードサイド店100店を閉店するという方針を発表するなどの苦境の中にある。その一方で、同様に、ロードサイドに店舗展開しているコメダ珈琲店は、2022年2月期に、過去最高の売上高を計上した。これは、コメダ珈琲店の店舗設計に特徴があると考えられると、谷頭さんは指摘しておられます。

というのは、「コメダ開発部門統括の専務・高橋敏夫氏は、過去のインタビューで、駐車場が狭いと顧客にとって良い印象が残らないと述べ、必ず駐車場のスペースを十分に確保してから店舗を設計すると答えている」ことから、このような、自動車で来店する人たちへの配慮が、業績に大きく影響していると分析しておられるようです。これまでの一般的な考え方では、飲食店の競争力を高めようとするときは、メニューの内容、価格、店舗づくりなどが思い浮かびます。

でも、コメダ珈琲店の場合、ロードサイド店として優位性を発揮するために、停車しやすい駐車スペースをつくるという着眼点から店舗設計をしているわけですが、これは、同社が、真に顧客目線に立っているということの現れでしょう。ちなみに、サイゼリヤでは、厨房は1人でオペレーションできる仕組みをつくったり、吉野家では、回転率を上げるためのオペレーションが実現できる店舗レイアウトを研究したりしています。

これらの例のように、飲食店の競争力は、仕組みづくりに比重が高まっていると考えられます。もうひとつ付け加えると、コメダ珈琲店の事例は、同じ業種であっても、業績のよい会社と悪い会社が現れるということです。それが、コメダ珈琲店が業績を伸ばす一方で、すかいらーくが苦境に立つ結果となっていることからも分かるでしょう。したがって、今後、経営者は、直接的な事業そのものよりも、管理面や仕組づくりなどに能力を発揮することが、ますます求められていくでしょう。

2022/9/10 No.2096