[要旨]
業務スーパーは、コストパフォーマンスを重視する需要に応じるため、従来の商品にない製品開発や販売方法によって業績を拡大してきました。したがって、これからは、新たな需要を見つける「鼻の利く」経営が競争力を高めるカギになると考えることができます。
[本文]
ジャーナリストの加藤鉱さんのご著書、「非常識経営-業務スーパー大躍進のヒミツ」を読みました。ご存知の通り、業務スーパーは、著しく業績が拡大していますが、同書を読み、私はそのポイントは2つあると思いました。その1つは、業績が低迷した食品製造業を買収し、子会社とすることで、自社独自の製品製造を内製化していることです。2つは、製品の低価格を最優先させていることです。例えば、鶏肉は、小分けせずに、あえて2kgパックで販売し、単位あたりの価格を抑えているそうです。
プリンや水ようかんを牛乳パックに入れて販売するということも、既成概念にとらわれない発想の現れでしょう。しかし、これらの手法は、同社の業容拡大の直接的な要因で、もっと本質的な部分は、同社が需要に応えるサプライチェーンを構築したところにあると思います。というのは、現在は、賃金水準が伸びない中で、消費者の一定部分は、コストパフォーマンスを求めており、同社がそれに気づいたところが、本当の同社の強みだと思います。
同様の事例は、同書にも書かれていますが、ワークマンは、アウトドア製品の低価格需要に応じることで、4,000億円の市場を見つけています。とはいえ、これらの新たなニーズは、コロンブスのたまご的なものであり、見えていないうちは、なかなか見つけることは難しいものです。したがって、これからは、「空白の市場を見つけるための鼻が利く」会社が、業績を伸ばしていくのではないかと、同書を読んで感じました。
2022/6/27 No.2021