鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

リーダーは自動車のハンドルを握ること

[要旨]

リーダーの役割は、自動車のドライバーになって、自らの責任で、どのような道を進むかを判断しながら、同乗者を目的地に運ぶようなものです。それにともなって、リーダーは責任を負うことになりますが、それと同時にさらに技術を磨こうという意欲を得る動機付けにもなります。


[本文]

前回に引き続き、今回も、伊賀泰代さんのご著書、「採用基準-地頭より論理的思考力より大切なもの」を読んで、私が気づいたことについて書きたいと思います。伊賀さんは、リーダーシップについて、分かりやすい例で説明しています。「私は、『リーダーシップを発揮することは、自動車のハンドルを握ることと同じである。リーダーシップを身につければ、自身が人生のコントロールを握ることができる』という表現をよく使います。

運転席に座ってハンドルを握ることは、さまざまな負担がともないます。他人の命を預かるというリスクを負っているわけですから、他の席に座っている人と違って居眠りもできないし、のんびり景色を楽しむことも困難です。それでも、『やはり自分でハンドルを握りたい、自分がドライバーとして選んだ道を走りたい』と思った時、それを可能にしてくれるのがリーダーシップという運転技術なのです。(中略)

助手席や後部座席に座って進む人生は、気楽なものです。運転者がどこかに連れていってくれるし、自分の行きたいところがあれば、『あそこに行きたい』と依頼するだけです。それでも、『自分でハンドルを握りたい』と考える人はたくさんいます。そして、ハンドルを握り、成果を出し、同乗者から感謝される経験を積んだ運転者の多くが、『もっと険しい道でも運転できるようになりたい』、『もっと難しい目標地点まで、みんなを連れていってあげたい』と考えるようになるのです』(225ページ)

この伊賀さんの説明からも分かるとおり、リーダーは責任を分担する役割を持つということです。これは、裏を返せば、リーダーになりたくないということは、責任を負いたくないということです。もちろん、リーダーになりたいか、なりたくないかという判断は、個人的なことなので、他者が介入すべきことではありませんが、その根拠は割愛しますが、現在は、その度合いはともかく、責任をとることを避けながら生きるということは、あまり賢明な考え方ではないと思います。少なくとも、経営者の方は、従業員の方、各々に対して、リーダーシップを発揮してもらうよう働きかけることが、より重要になっていると、伊賀さんのご指摘を読んであらためて感じました。

2022/6/24 No.2018