[要旨]
顧客満足度は、問い合わせの回数などで、間接的に把握することができます。したがって、問い合わせ回数などをKPIに設定することで、顧客満足度を高めることができます。ただし、問い合わせ回数が減っているにもかかわらず、新規顧客が増加しないときは、KPIの設定が誤っていることになりますので、別のKPIを設定することが求められます。
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前回に続き、今回も、アマゾンジャパンのOBで、経営コンサルタントの佐藤将之さんのご著書、「amazonのすごい会議:ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法」から、私が注目したことについて説明したいと思います。前回は、KPIの設定は難しいということを述べました。でも、そのKPIをじょうずに設定できるようになると、その分だけ、事業も改善すると、私は考えています。現に、アマゾンがその例でしょう。
では、どのようにKPIを設定すればよいのかというと、例えば、佐藤さんによれば、アマゾンでは、顧客満足度を測るKPIとして、商品に関する問い合わせが1回ですんだ顧客の人数を挙げています。顧客満足度は、定性的な要素ですが、それを、2回以上の問い合わせをしなくてすませることができたという人の数で、満足度を推計するという方法をとっています。これに似た指標として、苦情の数、返品の数、リピート購入の数などがあると思います。ここからは、私の考え方なのですが、これらの指標が、正確に、顧客満足度を測ることができるとは限りません。
でも、まったく、顧客満足度を反映していないとも言えません。そこで、いったん、問い合わせが1回ですんだ顧客の数を、顧客満足度を測るKPIとして設定し、3か月や6か月といった期間で区切り、その指標が妥当かどうかを検証していくことで、より、適切な指標を見つけることができるようになるでしょう。そして、もし、問い合わせが1回ですむ顧客の数が増えているのに、顧客数が増えなかった場合は、その指標は不適切ということになるでしょう。その場合、別の指標を、顧客満足度を測るKPIとして設定することが適切です。なお、当然のことですが、実際には、顧客満足度を測るKPIはひとつだけでなく、複数のKPIを設定していることが多いようです。
話を戻して、KPIの設定は、最初から、適切なものはわからないものです。でも、前回、述べたように、KPIがあるから、正確な要改善点の把握や、改善策の策定もできるようになります。これが、KPIなしでは、勘で改善策を策定することになったり、本当に改善しなければならに部分であるにもかかわらず、その担当者が、負担増加を避けるために、言い逃れしやすくなったりしてしまます。したがって、事業の改善とは、どれだけ早く正確に適切なKPIを設定できるかにかかっているということになります。繰り返しになりますが、KPIの設定には労力がかかるものの、成行での事業改善よりは、格段に効果が高くなります。
2022/2/12 No.1886