鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

リスク管理としての取引先の分散

[要旨]

売掛金が回収できず、自社の事業が継続できなくなってしまう事態に至らないようにするためには、社内でリスク管理体制を整えることが基本です。また、ひとつの取引先が倒産したことによる自社の影響を少なくするためには、取引先の分散も考慮することが必要です。


[本文]

前回は、売掛金が回収不能になったときは、そのことをなるべく早く銀行に報告することが得策ということを述べました。しかし、場合によっては、回収不能になった金額が大きいために、自社の事業の継続も難しくなる可能性もあります。ここで、そうなった場合の手続きなどを説明することもできますが、現在、正常に事業を営んでいる会社の経営者の方が、それらを現時点で知っておく意味はあまりありません。

それらの手続きは、自社の事業が立ち行かなくなったという前提で必要となる知識だからです。むしろ、いま、必要な知識は、大きな損失が発生しないようにするには、どうすればよいのかということです。したがって、前々回まで説明してきたような、リスク管理体制を、しっかりと会社の中で整えておくことが大切です。

リスク管理の観点から、もうひとつ大切なことは、販売先の分散です。というのは、販売先が特定の数社しかない状態では、仮にひとつの販売先が倒産すれば、自社への打撃が大きくなるからです。しかし、販売先を分散させないことは、短所だけでなく長所もあるので、必ずしも販売先を分散しさえすればよいということでもありません。

これについては、事業の内容や経営環境によって、どういう状況が適切かという判断が異なって来るので、経営者の方が、注意深く見極めるしかないでしょう。そして、避けなければならないことは、リスクへの対応を考慮せず、特定の販売先に依存してしまうことです。経営者には、攻めるだけでなく、守りも考慮するという、適度なバランス間隔が求められています。

2022/1/27 No.1870

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