鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

高額なコンサルティングフィーの注意点

[要旨]

コンサルティングを受けても、その内容の難易度が高かったり、自社に合わないものであったりした場合は、コンサルティングが奏功せず、コンサルティングフィーが無駄になってしまう可能性があります。したがって、コンサルティングを受ける場合は、自社に合うものであるどうか、自社にポテンシャルがあるかどうかもよく検討する必要があります。


[本文]

先日、SNSに、あるコンサルティング会社に対する批判が書かかれていました。その批判は、その会社のコンサルティングを受けた人が書いたもののようす。批判の内容は、月額100万円以上のコンサルティングフィーを支払い、2年ほどコンサルティングを受けたが、業績が上向くことはなく、コンサルティングフィーの分だけ、そっくり赤字になったというものです。私も、その批判を受けたコンサルティング会社のことは知っていて、コンサルティングの内容も手厚いもので、コンサルティングフィーもそれなりの金額であるということは知っていました。

しかし、そのコンサルティング会社のコンサルティングによって、業績を高めている会社もたくさんあるので、コンサルティングフィーは妥当とも思っていました。しかし、コンサルティングを受けたにもかかわらず、業績が改善しなければ、コンサルティングフィーを払った側から見れば、そのフィーは無駄な費用だったと感じることでしょう。とはいえ、コンサルティング会社も、単に、高いコンサルティングフィーを払わせようとだけ考えていたわけではないと思います。もし、コンサルティングフィーだけが目当てなら、月額100万円にせず、50万円程度に抑え、ずっと顧問先の機嫌をとりながら、長期間、契約させようとするでしょう。

むしろ、月額100万円という金額は、コンサルティング会社に、それなりの自信がなければ請求できる金額ではありません。そして、月額100万円の内容であれば、コンサルティングを受ける会社側に、それを受けるためのポテンシャルがなければ無意味ですから、コンサルティング会社側も、事前にそれを確かめた上で、コンサルティングを提供することを決めていると思います。しかし、前述の批判をした会社は、コンサルティング会社の見込みがはずれ、事業が改善しなかったということだと思います。

そのようなことが起きてしまう原因は、必ずしも、コンサルティングを受ける会社の側にあるとは限らず、コンサルティング会社側にある場合もあると思います。したがって、コンサルティングを受ける際には、コンサルティングメニューを良く検討し、自社に合ったものかどうか、また、遂行することが可能かどうかを、十分に検討する必要があります。ちなみに、私の経験では、コンサルティングを依頼してくる方の中には、コンサルタントに依存的な方もいます。そのような方は、コンサルティングを受けてからも、能動的に改善活動に臨まないので、事業が改善する可能性は低くなると思います。コンサルティングを受けようとするからには、コンサルティングを受ける側も、従来よりも、さらに努力が必要ということを理解していなければなりません。

最後に、念のため、2点、追記しておきます。ひとつは、コンサルタントの能力は、必ずしも完全ではないので、コンサルティングを受けて事業が改善しなかったときの原因は、コンサルタントにも責任があると言えるということです。ただし、そういう場合であっても、コンサルタントを選んだ会社側の責任がまったくなくなるわけではありません。もうひとつは、今回の記事は、コンサルティングを受けて失敗した会社のことについて述べていますが、私は、なるべく多くの会社がコンサルティングを積極的に活用すべきと考えています。それは、業績のよい会社ほどコンサルティングを積極的に活用していることからも分かります。

2022/1/3 No.1846

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