鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

スリッパの法則

[要旨]

ファンドマネージャー藤野英人さんは、社屋に入るとき、スリッパに履き替えることにしている会社は、経営者の方が、「悪しき家族主義」を意識している可能性があり、そのような会社は業績が伸びないと指摘しています。会社のオープンさを確保することは、業績を伸ばすための要件のひとつであると考えられます。


[本文]

ファンドマネージャー藤野英人さんの著書、「スリッパの法則-プロの投資家が教える『伸びる会社・ダメな会社』の見分け方」を拝読しました。「東京ではあまり見かけませんが、地方の会社、とりわけ、長野、新潟、北海道などの豪雪地帯に本社を置くケースでは、よくあります。こうした地域では、会社に着くと、雪を払い、靴を脱ぎ、スリッパに履きかえることは当たり前の行動なのです。(中略)こうした習慣は、経営者の心を反映しています。

『会社は家と同じ』と経営者が意識しているとすれば、それは悪しき家族主義です。
靴を脱ぐことで、会社のオープンさが失われます。誰でも自由に会社に出入りできるということを遮断してしまう恐れがあるのです。体験的にいっても、たとえば、北海道で業績を伸ばしているかいしゃには、スリッパに履きかえていない会社が多いのです。当地でホームセンター最大手のホーマック、家具メーカーのニトリ、ドラッグストアのツルハなどは、スリッパで本社に入らない会社です」

藤野さんは、「家族主義」を否定的に評価していますが、「会社は家族的な方がよい」と考えている経営者の方もいると思いますので、これは、意見が分かれるところだと思います。私は、小規模な事業を続ける場合は家族主義であってよいと思いますが、そうでなければ、家族主義は限定されるべきだと思っています。「家族的でない」人でもきちんと働ける職場の方が、家族的な人でないと働けない職場よりも力を発揮できると思うからです。ちなみに、藤野さんの本には、他にも経営者の方が参考になる「法則」が豊富に書かれているので、ぜひ、参考にしてみてください。

2021/10/23 No.1774

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