鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

あなたの会社は原価計算で損をする

[要旨]

経営コンサルタント一倉定さんは、財務会計だけではなく、管理会計の観点から、正しい経営判断を行わないと、会社が損をしてしまうと、著書で指摘しています。そこで、経営者の方は、会計的な観点から正しい判断を行えるよう、会計に関する知識を備えることが大切です。


[本文]

日経ビジネスオンラインに、経営コンサルタント一倉定さんのご著書、「あなたの会社は原価計算で損をする」のダイジェストが掲載されていました。この記事では、スキー宿の夏期の料金が、2,300円の時は6万円の赤字になるが、800円では2万円の赤字に縮まるということを解説しています。なぜそうなるのかは、ここではその詳細を解説しませんが、原価計算において、固定費の捉え方を誤ってしまうと、正しく経営判断ができなくなるということを示しています。

あらゆる会社は、財務会計に基づく会計取引の記録を行い、それらを集計して決算書を作成しています。その決算書によって、財務会計的な観点からの原価を把握することはできますが、それは、会社の業績を測るための数値であり、経営判断を正しく行うためには十分なものとはなりません。そこで、経営判断を正しく行うために、管理会計の考え方に基づいて、別途、データをまとめる必要があります。

ところが管理会計は複雑な面があります。財務会計は、ある面では、一律の規則があるので、ほとんどの会計取引は、その規則通りに記録すればよいのですが、管理会計については、自社の事業の内容や戦略に合わせてアレンジしなければなりません。また、経営者の方も、管理会計を理解し活用するためには、財務会計に関する基本的な知識を理解した上で、さらに、会計に関するリテラシーが必要になります。

一方で、日本の中小企業の多くは、「数字とにらめっこしている時間があれば、現場に出る方がよい」というような価値観を持っている経営者が少なくありません。でも、そのような考え方だけでは、会社経営を船の航海に例えれば、霧の中を羅針盤を見ないで進むようなことになりかねません。特に、競争の激しい時代だからこそ、より精度の高い経営判断の必要性が高まっています。

このような、会計の重要性は、昔から叫ばれてはいるのですが、一倉さんの指摘を読んで、改めてそれを感じました。私は、多くの経営者の方に会計に関心を持っていただきたいと思っています。また、独力ではなかなか管理会計の活用は難しいという場合は、顧問税理士や中小企業診断士などに、ご相談されることをお薦めします。

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