鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コンセプトは中立的なものが望ましい

[要旨]

会社のコンセプトが、「業界ナンバーワン」や「世界最高水準」であると、それらは「よいこと」なので、なぜ、それを目指すのか、どうすればそうなれるのかを考えなくなってしまいますので、注意が必要です。むしろ、コンセプトは中立的なものにして、なぜ、どうやってそれを目指すのかを考えることが望ましいと言えます。


[本文]

今回も、一橋大学楠木建教授のご著書、「ストーリーとしての競争戦略」から、私が気になったところをご紹介したいと思います。今回は、「コンセプト」についてです。楠木教授は、会社のコンセプトは、できるだけ中立的な言葉を使う方がよいと述べておられます。具体的には、スターバックスコーヒーの「サードプレイス」や、ガリバーの「買取専門店」などで、これらは「よい」や「悪い」という価値観が含まれていない点がよいそうです。

逆に、「業界ナンバーワン」や「世界最高水準」などは、「よいこと」なので、コンセプトとしては望ましくないそうです。では、なぜ、「よいこと」をコンセプトにすることは望ましくないのかというと、それらは最初から「よいこと」なので、何も考えなくなってしまうからだそうです。これは、私の解釈ですが、「よいこと」を目指すことに理由は不要なので、どうしてそれを目指すのかは誰も考えないのだと思います。

でも、「サードプレイス」や「買取専門店」をコンセプトにすれば、なぜ、それを目指すのか、それを目指すためにはどういうことをすればよいのかということを考えなければなりません。これは少し厳しい言い方ですが、それらを考えることを無意識のうちに避けようとして、「よいこと」をコンセプトにしてしまう会社が多いのではないかと思います。

ちなみに、私は、「業界ナンバーワン」や「世界最高水準」以外に、「地域密着」、「顧客第一」、「伝統の●●」、「こだわりの●●」なども同様だと思っています。それらはすべて「よいこと」なので、なぜそれを目指すのか、どうすればそうなれるのかを考える人はいません。ただ、コンセプトが「よいこと」であることが問題なのではなく、「なぜ」と「どうやって」を考えなくなってしまうことが問題です。

そして、私は、「よいこと」をコンセプトにして、そのまま、「なぜ」や「とうして」を考えないままの会社は、意外と多いと感じているので、今回、楠木教授のご指摘を紹介させていただきました。自社のコンセプトについて、もし、「よいこと」にしている会社は、いまいちど、なぜそれを目指すのか、どうすればそうなるのかを考えていただくか、または、自社のコンセプトそのものの妥当性を考えていただければと思います。

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