鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

カスタマーオリエンテッドの経営

[要旨]

業績が改善しているドムドムハンバーガーの社長の藤崎さんは、顧客体験を提供することにこだわり、ヒット商品を生み続けています。このような、カスタマーオリエンテッドに忠実に臨む姿勢は、着実な効果が得られるようです。


[本文]

ドムドムフードサービスの社長の藤崎忍さんのご著書、「ドムドムの逆襲39歳まで主婦だった私の『思いやり』経営戦略」を読みました。私がこの本に関心を持ったのは、藤崎さんは、短大卒業後、すぐに結婚し、39歳まで専業主婦であったにもかかわらず、アパレル店店長、居酒屋開業というキャリアを経て、ドムドムの社長に就くことができたのか、知りたかったからです。

ちなみに、ドムドムの業績については、非公開のため、藤崎さんの正確な貢献度は分かりませんが、同書によれば、2021年3月期に売上高前期比109%となり、また、黒字化を達成と書いてあることから、藤崎さんが社長を務めてから業績が向上していることは確かなようです。むしろ、コロナ禍という逆風が吹いている中での業績向上ですから、平時であれば、もっと業績が伸びていたのではないでしょうか?

では、藤崎さんが、どうやって業績を向上させたのかというと、正直なところ、同書からは、何か特別なことをしたというようには感じられませんでした。ただ、社長就任後、次のような改革をしたことが、奏功したようです。(1)社内の風通しを良くして、現場の声をしっかり聞く。(2)週4日は店舗をまわる。(3)「ドムドムとは何なのか?」を模索する。

さらに、藤崎さんは、「さまざまな顧客体験を提供する」ということにこだわっていたようです。この顧客体験の具体的なものは、幕張メッセのイベントへの出店のとき、オリジナルのハンバーガーを、2日間で、予定の2倍の2,000個を販売したり、丸ごとカニバーガーなどの、斬新な新製品を開発したことなどです。このような新たな顧客体験の提供を実践するための手段が、前述の、社内改革だったようです。

そして、藤崎さんは、表面的には39歳まで社会人としての経験がないことになっていますが、実家が墨田区の不動産業で、幼いころから両親の働く姿を見て育ったことから、初めての社会人経験のときのアパレル店でも、「商売人」としての「遺伝子」が働いたようです。私は、藤崎さんの本を読んで、基本的なことに忠実に臨むことが、遠回りになるようで、実は、改善の近道になるということを、改めて感じました。

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