鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コーポレートガバナンスコードと監督

[要旨]

東京証券取引所では、コーポレートガバナンスコードを定め、会社で監督業務の強化を求めています。これは、会社が持続的に成長するためには、取締役会によって監督がしっかりと行われることが大切という考え方によるものです。


[本文]

先日、弁護士の鳥飼重和さんが、ポッドキャスト番組で、コーポレートガバナンスコードについてお話しておられました。要旨は、東京証券取引所は、取引所に上場している会社に、世界中から資金が集まるように努力をしている。そこで、コーポレートガバナンスコードという指針を作り、上場している会社に対して、「持続的成長に向けた企業の自律的な取組」を促すことにした。

それによれば、取締役会の役割は、経営戦略を策定するだけでなく、自社が持続的に成長する方向に向かって活動しているかどうか、チェックする機能を求めている。そこで、そのような役割を果たせる人材を取締役として確保できるかどうかが大切になっている、というものです。

すなわち、取締役には、監督業務が強く求められるようになってきているということですが、これは、従来の一般的な考え方とは違った考え方だと思います。というのは、事業が成長するためには、どのような活動をするかが大切だと考える方が多いと思いますが、コーポレートガバナンスコードによれば、監督体制が整っていることが大切だということです。

では、なぜ、そのような考え方になったのかということですが、私は、次のように考えています。すなわち、コーポレートガバナンスコードのような指針ができた背景には、経営環境が複雑化している時代にあっては、事業を成功させるためには、どういう事業を行うべきかを決めるだけでは足らず、それが正しい方向に向かっているかどうかを、常に検証しなければならなくなってきたからだと思います。

監督や検証は、面倒であり、ややもすると不要な活動である、または、迅速な事業の遂行の妨げとなる活動と考えられがちですが、それは大きな誤解です。監督や検証は、単なる粗探しではなく、自社をより強くするための活動であり、これからは、ますます重要性が増していると考えなければならなりません。

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