[要旨]
会社の自己資本(純資産)は、資本金以外にも、事業活動で得られた過去の利益の蓄積を示す金額も含まれています。会社は、決算期ごとに、事業活動で得られた利益から、税金と配当を差し引いた残りを、利益剰余金として、自己資本を増加させます。まれている
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前回、会社の規模は、資本金ではなく、自己資本(純資産)で示す方が妥当ということについて書きました。今回は、資本金と自己資本の違いは何かということについて述べたいと思います。とはいえ、簿記を学んだ方には、基本中の基本だと思います。まず、自己資本は、大きく2つに分けることができます。
そのひとつめは、株主から受け取った資金で、「資本金」、「資本準備金(株主から受け取った資金のうち、資本金としなかった資金)」、「その他資本剰余金(資本準備金減少差益、自己株式処分差益など)」があります。詳しい説明は割愛しますが、簡単に述べると、株主から受け取った資金と、それに関連するものというものです。
ふたつめは、内部留保です。ただし、内部留保という勘定科目はないので、貸借対照表には、「利益剰余金」という科目で示されるものが、一般的には、内部留保と呼ばれています。(利益剰余金は、「利益準備金」や、「その他利益剰余金」などに区分されていますが、ここではその説明は割愛します)では、内部留保は何かというと、1会計年度で得た利益から、配当金と税金を差し引いた残りを、毎期、蓄えてきた累積です。(厳密には、もう少し細かい規則がありますが、ここではその説明は割愛します)
例えば、A社の前期の利益が100万円であったとき、40万円を納税し、30万円を株主への配当として支払ったとします。(納税や配当は、実際には、会計期間の末日から数か月後に行われますが、理解を容易にするために、ここでは、会計期間の末日に行われるという前提で説明します)そして、その利益分として、A社の預金口座に30万円が残っているとすると、決算処理によって、それは、翌期に繰り越される利益という意味での預金になります。
これを言い換えれば、A社の1会計期間の事業活動によって得た利益100万円のうち、税金40万円と配当30万円が社外へ流出し、30万円が会社に残ることになりますが、決算によって、会社の資産が30万円増えたという処理をします。そして、その増えた30万円を示す要因として、自己資本の利益剰余金(厳密には、繰越利益剰余金)を増加させます。ここまでの内容をまとめると、会社の自己資本は、株主から受け取った資金と、事業活動で得られた過去の利益の蓄積の、大きく2つに分けられ、資本金以外の資金も含まれているということです。