[要旨]
現在は、経営の専門性が高くなってきていることから、会社の経営者層は、社内の従業員を昇格させることが、必ずしも妥当とは言えなくなりつつあります。
[本文]
集客関連コンサルティングを営んでいる、ラン・リグの社長、渡邉昇一さんの制作しているポッドキャスト番組で、大阪府吹田市にある建設会社、アートリフォームの社長、大本哲也さんが、同社の事業体制についてお話をしていました。すなわち、大本さんは、「経営は技術であり、それを担う人は専門職である」と考えているそうです。
そこで、同社では、マネジメント層には、現場の人を充てず、専門家に任せているそうです。そうすることの方が、現場にいた人にマネジメントを学んでもらうより、迅速にマネジメント機能を発揮してもらえるということです。伝統的な会社では、功績のある人を昇格させ、それにしたがって、マネジメントに関わってもらうことが多いと思います。
そして、功績によって昇格できることも、従業員の方にとっては、モチベーションになっていると思います。しかしながら、「名選手は必ずしも名監督になれるとは限らない」ということもあるように、マネジメントが不得手な人が昇格したことによって苦しむという例も少なくないようです。
さらに、現在は、マネジメント層に求められる役割が、より高度化、複雑化していることから、マネジメントが不得手な人をマネジメント層に就かせることは、会社にもその人にも、よい結果につながらなくなってきていると思います。そういう面では、大本さんの考え方は妥当と思います。だからといって、直ちに、すべての経営者の方が、大本さんのような対応をすべきとまでは言えませんが、マネジメントの専門性が高くなっているということを認識することは重要と思います。