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一般的に、会社が銀行から融資を断られる原因は、業績がよくないからと考えられがちですが、会社が今後の業績の見通しを示す資料を見せることができなかったということが本当の原因である場合が多いようです。
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今回は、Clubhouseで私が受けたご相談の内容についてシェアします。ご相談の内容は、「中小企業が継続的に銀行から融資を受けることができるようにするには、どうすればよいのか」というものです。中小企業にとって、安定的な資金調達ができるかどうかは、とても切実な課題だと思います。
そして、それに対する私の回答は、黒字を維持すれば、銀行は融資を続けてくれますというものです。でも、こんな回答をすれば、「そんなことは、誰でも分かっている」と感じるでしょう。従って、本当の質問は、「仮に会社が赤字になっても、銀行から継続的に支援してもらうにはどうすればよいのか」ということになると思います。
では、赤字でも融資を受けられるようになるにはどうすればよいかというと、将来、自社が黒字に回復することが見込むために必要となる資料を提出すればよいということです。銀行は、融資相手の会社が、相当に悪化していない限り、単に、赤字になっただけでは、融資を断ることはしません。
しかしながら、今後、業績が回復するかどうかを判断できなければ、融資を断ることになるでしょう。したがって、このような会社の場合、融資を断られた理由は、会社が赤字だからというよりも、会社が今後の業績の見通しを示す資料を見せることができなかったということになります。
ちなみに、今後、業績が回復することが見込むことができるために必要となる資料とはどういうものかというと、ひとつは、前月か前々月までの月次試算表です。その他にも、将来の業績を見通すための資料はありますが、この資料がなければ、将来の分析をすることはできません。
もちろん、月次試算表を提出すれば融資を受けることができるとは限りませんが、現時点で、令和3年1月の月次試算表を完成させている会社で、融資を受けることに苦心している会社は少数派だと、私は考えています。