鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

真逆の指示

[要旨]

職場のリーダーは、部下に対して真逆の指示を出してしまうことがあります。人間は完全ではないので、ときには間違いも起こしますが、リーダーは組織運営に軸足を置いている立場にあるので、適切なコミュニケーションの確保に注力することが求められます。


[本文]

社会保険労務士の後藤功太さんが、メールマガジンに、真逆の指示について書いておられました。すなわち、リーダーが忙しいと、いちど部下に指示したことを、再度、指示したり、または、以前、指示したこととは真逆の指示をしてしまうことがある。このようなことをすると、部下が不信感を持ってしまうので、リーダーは、自らが指示したことは、メモにしておくなどして、部下を混乱させるようなことを防がなければならない、というものです。まったくその通りですね。

でも、私がサラリーマン時代(フリーランスになってからも、クライアントから似たようなことをされたことがあります)は、上司から真逆の指示をされたことは、珍しくありませんでした。さらに、真逆の指示をされることにも慣れてしまい、いったん、指示をされたことには従うけれど、後で、「そんな指示はしていない」と言われたときのための対策も、同時に行うようにしていました。話がそれますが、フリーランスになってから、何人かの知人に、前述のような私の経験を話し、そのようなことが職場で起きないようにする方法はあるかと質問をしたことがあります。

これに対して、半分くらいの人は、「本当に職場でそんなことがあるのか、仮にあったとしても、言った言わないの争いは、両者に問題があるのではないか」と、私の話したことに疑問を持ちます。確かに、言った言わない、または、指示を受けた方が、指示を出した側の意図を正しく理解しなかったということは起こりえます。私も完全ではないので、記憶違いや誤った理解をすることがあると思います。また、指示を出す上司も人間なので、完璧さ求めすぎることも、建設的とは言えないでしょう。

しかし、私が、当事者のいないところで、「真逆の指示をされた」と他人に言うからには、過去に受けた指示を記録していたなど、客観的に証明できるものがあることを前提にして、そのように述べています。ただ、私の話を直ちに信用しない人がいるということは、「真逆の指示」が起きることがほとんどない職場もあるのだということなのだと思います。だから、私の過去の経験は、普遍的ではないのだということを認識しています。

話を戻して、後藤先生のメールマガジンを読んで、リーダーはコミュニケーションを重視しなければならない立場にあるということを、改めて認識しました。今回は、「真逆の指示」を例に出しましたが、リーダーの指示が正しく伝わらない、届いて欲しい相手に行き届かない、そしてリーダーの指示そのものが誤っていることもあるということです。

これに対して、「経営者は極めて多忙なのだから、部下はリーダーに対して慮ることも必要ではないか」と考える方もいると思います。私も、部下が経営者に対して配慮することは必要だと思います。でも、経営者がそれをあてにすることは避けるべきであり、おかしいと思います。経営者は、組織運営に軸足があるのであって、それを専門的に行う立場にあるからです。

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