鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資は目的ではなく事業継続の手段

[要旨]

コロナ禍が継続している状況において、融資の申し込みをさらに検討している会社経営者の方も多いと思いますが、このような状態だからこそ、安易に、問題の先送りをするだけの融資の利用は避けることが無難です。ただし、政府の新たな補助事業も行われる見込みであることから、それを利用して、思い切った事業転換の検討もお薦めします。


[本文]

昨年末から新型コロナウイルス感染者が増加してきたことにともない、一部の地域に緊急事態宣言が出されました。これと同時に、中小企業の資金繰支援も継続して行われるようです。現時点では明確になっていませんが、私はセーフティネット保証4号の指定期間が、現在は3月1日まで(融資を受けられる期間は3月31日まで)となっていますが、それが延長されるのではないかと予想しています。

この予想が現実になるかどうかも含め、今後の政府の支援策が明確になりましたら、改めてお知らせしたいと思います。ところで、今回のコロナ禍だけに限ったことではないのですが、再び、融資申請を検討している方も多いと思います。事業を継続させるためには、資金不足とならないようにしなければなりませんから、それは当然のことです。

ただ、にわとりとたまごの関係のようになりますが、融資を受けることができれば、それだけで事業が継続できるのかということも考えなければなりません。現在は、会社によっては、経営環境が猛烈な逆風が吹いている状態なので、それが収まることで、再び経済活動がもとの状態に戻る見通しであれば、融資を受けるべきです。しかし、経営環境が改善しない、または、改善したとしてももとの状態にまでは戻らないという状況の会社が、融資を受けるのであれば、それは、単に、融資を受けることだけが目的化していて、問題が解決することにはなりません。

すなわち、現在は、コロナ禍の中にあるからこそ、今後の見通しを楽観視しすぎて、安易に融資を受けようとする判断は、避けるべきであると、私は考えています。精緻な事業計画を立て、100%完全ではなくても、回復の見通しが高いということでなければ、融資を受ける意味はあまりありません。繰り返しになりますが、融資は事業を改善するための手段であり、事業が改善する見込みがなければ、融資を受けても無駄になるということを、改めて強調したいと思います。

ちなみに、まだ詳細なことは公表されていませんが、「中小企業等事業再構築促進事業」という政府の補助事業により、「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編、または、これらの取組を通じた規模の拡大等を目指す会社」は、最大で1億円の補助を受けられるようです。こちらは、令和2年度3次補正予算案が成立してから実施されるようですので、事業の改善を検討している会社経営者の方は、融資の申請とあわせて、補助金の申請をご検討することをお薦めします。

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