[要旨]
ニトリは強固なサプライチェーンを武器に業績を伸ばしていますが、それは、全体最適を考えることができる人材の育成を徹底しているからであり、単に、「しくみ」を導入するだけでは、事業の競争力を高めることはできません。
[本文]
家具販売店大手、ニトリを傘下に持つ、ニトリホールディングスの会長の、似鳥昭雄さんのご著書、「ニトリの働き方」を読みました。(ご参考→ )私は、ニトリといえば、強固なサプライチェーンを武器にしている会社というイメージを持っていたのですが、同書を読んで、人材育成を最も重んじているということが分かりました。もちろん、ニトリの強みはサプライチェーンであるということに変わりはないのですが、その強いサプライチェーンを構築するには、習熟度の高い人材が必要であり、同社が、人材に力を入れているからこそ、競争力の高い事業を営んでいるということが納得できました。
ニトリの人材育成は、Change、Challenge、Competition、Communicationの、4つの「C」を重視した人材育成を行っているのですが、それは、最終的には、全体最適を考えることができる人材の育成を目指すものであり、まさに、サプライチェーンの最適化に合致しているものです。そして、これは、これまで私が何度か言及していることですが、単に、戦略を実施しようとしたり、新たなシステムを導入したりするだけでは、それらは奏功しません。それらをきちんと実践できる能力を持った人材がいなければ、戦略やシステムは機能しません。
このことは容易に理解できることなのですが、経営者の方の中には、難易度が高く、時間もかかる人材育成を避け、新たな戦略を実施したり、システム導入したりするだけで、業績を高めようとする方が少なくありません。でも、それだけでは、ニトリのような、きちんと人材を育成している会社との競争に、直ちに敗れてしまいます。今回、似鳥さんのご著書を読んで、人材育成が大切であるということ、そして、その人材育成は経営者の最も重要な役割であるということを、改めて学びました。