鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

社会的な課題を解決するビジネス

[要旨]

ユニ・チャームは、紙おむつのリサイクルによって、事業活動を通じて社会的な課題を解決するというCSV経営を実践していますが、これからは、このようなCSV経営を採り入れることで、事業を強くすることができるようになると考えられます。


[本文]

衛生用品メーカーのユニ・チャームが、紙おむつのリサイクルシステムを開発したというニュースを見ました。紙製品のリサイクルについては、真新しいことではありませんが、紙おむつのリサイクルの場合は、単に、紙資源の再利用というだけでなく、二酸化炭素排出量の削減にもつながるそうです。

というのは、使用済みの紙おむつは水分を含んでいるので、それを燃やすには多くの燃料がかかるそうです。しかも、今後も大人用紙おむつの需要は増えていくので、処理コストの増加も大きな社会問題になると見込まれています。しかし、紙おむつのリサイクルができるようになれば、前述のとおり、紙資源の再利用と処理コストの削減が同時に実現する、一石二鳥の技術です。

そして、いま、事業活動を通じて社会的な課題を解決するという考え方、すなわち、CSV経営が注目されていますが、紙おむつのリサイクルは、まさにこれに該当すると思います。ところで、今回、ユニ・チャームの事例を引用した理由は、CSV経営のすばらしさということよりも、これからは、社会問題を解決できる会社が強い会社になるのではないかと考えたからです。

ただ、ユニ・チャームは、上場している大きな会社だから、難易度の高いCSV経営を実践できると考える経営者の方もいるかもしれません。確かに、そのような面もあるとは思いますが、中小企業でもCSV経営を実践している会社の事例はあります。例えば、マジックファイバーという油吸着材を開発したエム・テックスは、東京都大田区の中小企業です。

このマジックファイバーは、水は吸い取らず、油だけを吸い取るという特殊な吸着剤で、今年7月に、インド洋のモーリシャス沖で座礁した、日本の貨物船から流出した重油の除去に役立てられています。(ご参考→ https://bit.ly/38bzj6b )もちろん、このようなCSV経営は、一朝一夕では実現できないと思いますが、事業を強くするための方法の着眼点になることは間違いないと、私は考えています。

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