[要旨]
セブンイレブンでは、店内のレイアウト変更により、売上高を伸ばしているが、第四次産業革命が進展している現在は、人が関わる部分の業績の改善手法は、劇的で派手な手法はなくなってきていると考えられます。
[本文]
ダイヤモンドオンラインに、流通ジャーナリストの森山真二さんが、セブンイレブンに関する記事を寄稿していました。概要は、セブンイレブンでは、2~3年前から新レイアウトの導入を進めており、酒類のケース(売り場)と総菜のケースを限りなく近づけたり、酒類の売り場を拡大したりするなど、レイアウトを変更し、コロナ禍で増えた自宅での食事需要を掘り起こそうとしてきた。
その結果、新レイアウトを先行導入した43店については、たばこを除く売上高(日販)は、27,400円のプラス、9月から導入した173店でも、同じく15,600円のプラスとなった。このような施策が奏功したこともあり、9月の売上高が、ファミリーマートは前年同月比で4.7%減、ローソンは同5.5%減となっている一方で、セブンイレブンは2.4%増となった、というものです。
私は、この記事を読んだとき、セブンイレブンの売上増加の要因が、表現の仕方が失礼なことをご容赦いただきたいのですが、「地味な」レイアウト変更ということであるということに、少し驚きました。でも、このような地味な改善は、トヨタや丸亀製麺でも行っているということは知られています。
むしろ、必ずしも、地味な改善が100%正解とは限りませんが、業界のリーディングカンパニーが地味な改善により業績を改善しているということは、いわゆる、劇的で派手な改善手法は、もう、やりつくされてしまったのだろうと思います。とはいえ、セブンイレブンは、単に、レイアウト変更意外に改善手法がないという、消極的な選択をしているのではなく、レイアウト変更を深堀しているからこそ、ライバルと差をつけることができたのではないかと、私は想像しています。
現在は、第四次産業革命の時代と言われていますが、そのような経営環境の変化は、人手を不要にするものであり、逆に、人が関わる部分は、前述のような「地味」に限定されつつあるのではないかと思います。さらに言えば、第四次産業革命が進んでいるからこそ、ライバルと差をつけることができる部分は、地味なものに狭められているのだと思います。