鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業部制組織

[要旨]

事業部制とは、会社内に、大幅な権限を持たせた事業部を作り、事業部ごとの課題を達成させようとする制度です。なお、各事業部は、目標利益を達成する責任も持っているため、事業部のことをプロフィットセンターと言うこともあります。


[本文]

9月に、日本電信電話(NTTグループの持株会社)が、子会社のNTTドコモを完全子会社(親会社にすべての株式を所有されている子会社)にするために、公開買付(TOB)を行うことが発表されました。(ご参照→ https://bit.ly/3j7hdUF )ところが、この、NTTがドコモを完全子会社化することについて、その意義がよく分からないと、(どういうわけか、NTTとは無関係の私に対して)何人かの人から問い合わせを受けました。

ただ、それを答える前に、持株会社とはどういう会社なのかというところから説明しなければなりませんでした。さらに、持株会社を説明するには、事業の運営体制についても説明しなければなりませんでした。そこで、今回は、持株会社を説明するために、それと比較するための事業部制について説明したいと思います。

事業部制は、19世紀の米国で、ゼネラル・モーターズゼネラル・エレクトリック、デュポンなどの、大規模な会社で導入されたことが始まりと言われています。この事業部とは、会社の中で、製品、または、サービス、地域、顧客などによって事業を分け、それぞれを分担する組織のことです。

では、なぜ、大規模な会社が事業部制を導入したのかというと、会社の事業規模が拡大していった結果、製品や地域によって異なる課題を持つようになってきたため、それらの課題を、それぞれの製品や地域ごとに事業部をつくり、各事業部に解決を委ねることの方が、会社全体で課題解決に取り組むよりも効率的になっていったからと考えられます。

事業部の特徴としては、本社から事業部に大幅な権限が委譲されていることです。例えば、事業部では、事業部の事業計画を策定し、それを達成するための管理を行うほか、事業部内での人事権を持つこともあります。さらに、事業部では仕入先の選定をしたり、製品の価格を決定したりするほか、本社などの間接部門の費用も負担します。

そして、当然のことながら、事業部は委譲された権限に対応して、与えられた目標利益を達成する責任も持つことになります。そのため、事業部はプロフィットセンター(利益責任単位)と呼ばれることがあります。むしろ、現在では、社内にプロフィットセンターを作ることが、事業部制の目的になっていると言えるかも知れません。

ただし、事業部制を導入している会社でも、会社全体の長期経営計画を策定する役割、事業部の業績評価の実施、幹部の人事権などは、本社に残っていることが多いようです。次回は、社内カンパニー制度について説明します。

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