鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

過去の蓄えが将来の負担を減らす

[要旨]

私が新たに配信を始めたPodcast番組は、過去に出版した内容を話すものなので、小さな労力で開始できましたが、中小企業でも、仕事の手順や会社の規則などを文字にして蓄積しておくと、社内で情報が共有され、効率的な活動ができるようになります。


[本文]

9月25日に、私の著書、「図解でわかる経営の基本いちばん最初に読む本」が増刷され、第7刷になりました。それをきっかけのひとつとして、新しく、Podcast番組を配信することにしました。(ちなみに、新番組を配信しようとした詳しい経緯については、番組の第1回でお話していますので、ご関心のある方は、それをお聴きいただければと思います)

そこで、先日、第1回分を録音したのですが、意外と円滑に録音することができました。なぜかというと、この番組の内容は、すでに出版している本の解説をするものだからです。もちろん、番組では本を読み上げるわけではありませんが、私が伝えたいことが、すでに本に書いてあるわけですから、改めて話そうとすることをまとめたり、どのように説明しようかという事前の段取りが、ほとんど不要でした。

もうひとつ付け加えると、本に書かれていないような事例を引用しようとするときにも、私がこれまで1,400回近くの記事を配信してきたので、すぐにその中から見つけ出すことができます。ということで、Podcastの新番組は、真っ白な状態から始めたわけではないことから、新たなコンテンツで、新たに番組を始めようとする方よりも、とても小さな労力で始められたと感じています。

とはいえ、ここまで書いてきたことは、ものすごくあたりまえのことです。でも、私がこれまで中小企業の事業改善のお手伝いをしてきた中で感じることは、実際のビジネスに、このようなことを活用している会社は、それほど多くないということです。例えば、新たに雇った従業員の方に仕事を教えたり、会社の方針を教えたりするときに、口頭だけで伝えるということは珍しくありません。すなわち、マニュアルのようなものがないということです。

また、マニュアル以外でも、どの役職の人がどのような権限を持っているのか、どの職位の人はどれくらいのスキルが望まれているのかなど、いろいろな規則や基準なども、社長の頭の中にしかなく、部下から質問されるたびに、経営者の方が、都度、考えて回答するという光景は珍しくありません。

でも、こういうときはこういう回答をしたということを、メモ書きにして記録してあるだけでも、つぎに質問を受けたときに、経営者の方の負担も少なくなります。さらに、それらをカテゴリー分けして、社内のグループウェアイントラネットに載せておけば、社長が直接答えなくても、部下の方が、グループウェアを見るだけですむということにもなります。

さらに、部下から、1度質問されるということがらは、ふたたび質問される可能性も高いものです。そういったものを、文章、できればグループウェアに蓄積していくことで、会社の仕事が円滑になっていくと、私は考えています。質問されたことと、その答えをメモに書き留めておくことは面倒かもしれませんが、その手間は、何倍もの将来の手間を減らしてくれるものです。

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