鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

あえて矛盾のある職場に身を置く

[要旨]

厳しい職場環境の中では、上司から矛盾した要求を受けることがあるが、それは、矛盾を受け止めて乗り越えることができるようになるための鍛錬の機会でもあるので、起業家を目指す方は、あえて、矛盾したことを要求される環境に身をおくことも、成長の機会になると考えられます。


[本文]

かつて、Yahoo!BBに勤務していた、須田仁之さんの東洋経済オンラインへの寄稿を読みました。要旨は、Yahoo!BB起ち上げのときに、プロジェクトを成功させるために、須田さんは1日15時間働き続けていたが、それに対して仕事の量はあまりにも多く、プロジェクトは実現しそうにもなかった。そのような中、孫正義社長からは、「のろのろ仕事をしていてはだめだ」と怒鳴られた。

このように、職場においては上司から矛盾した指示をされることはあるが、人は本能で居心地のよいところを好む。したがって、厳しい環境におかれると、人は、いま置かれているところの矛盾したことにフォーカスしてしうまいがちである。しかし、あえて矛盾のある環境に居ることで、厳しい環境への対応力を鍛えることができる、というものです。

私も、かつて、銀行に勤務していた時、長時間労働で多くの仕事をこなさなければならなかったので、須田さんがYahoo!BBに勤務していた時のように、矛盾を感じながら仕事をしていました。その時の思いはこれからもしたくないし、他の人にも同じような思いをさせたいとも思いません。

ただ、同じような経験をしながら、須田さんは、それが自分を鍛えることになったと受け止めているところに、私と大きな違いがあると、感じました。確かに、私も長時間労働の中で、上司から不可能に近い要求をされることは嫌でしたが、そのおかげで、結果として忍耐力を身に着けたことは確かです。その一方で、「自分は、無理なことを要求されたから、他人には無理な要求はしないようにしよう」と考えています。

私は、須田さんのような考え方が、すべて正しいとは思いませんが、須田さんの指摘しているように、人は矛盾のないところ、すなわち、ストレスを感じないところに、本能的に身を移そうとします。すなわち、そのことは、その人が変化できるきっかけを減らすことにもなるということも事実だと思います。「若い時の苦労は買ってでもせよ」という格言がありますが、それに通じるものだと思います。

繰り返しになりますが、私は、部下に対して矛盾する要求はしない方がよいと考えていますが、これから起業して、将来、事業を大きくしようと考えている方は、さまざまな矛盾を乗り越えることになると思います。そうであれば、起業の前に、須田さんの経験したように、あえて、矛盾だらけの環境に身を置くこともよいのではないかということを、須田さんの記事を読んで感じました。

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