鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

気配を消しながらも存在感がある人

[要旨]

優れたビジネスパーソンは、普段はあまり出しゃばることはしないものの、必要とされるときに存在感を感じさせる立ち振る舞いをする人です。


[本文]

営業コンサルタント菊原智明さんのブログを読みました。ブログの要旨は、菊原さんがトップ営業マンのAさたちとゴルフをプレーしたとき、菊原さんがAさんを観察していると、Aさんは、他の人がティーショットを打つ時、その人より前に出ないようにするなど、マナーのよい人だった。メンバー同士で会話するときも、出過ぎることなく、黒子のような振る舞いをしていた。ところが、ランチのとき、電話がかかってきたため、Aさんが席を外した後、残ったメンバーの間は変な空気になり、黒子のようなAさんの存在感の大きさを実感したというものです。

私は、この菊原さんのブログを読み、リッツカールトンホテルの元日本支社長の高野登さんが、「気配を消しながらも、存在感があるサービス」についてお話しておられたことを思い出しました。すなわち、かつて、高野さんがニューヨークのホテルに勤務していたとき、市内のホテルの総支配人が集まる会議に、スケジュールが合わなかった上司に代わって、高野さんが代わりに出席したことがあったが、その会場となったプラザホテルで見た、ウエイターたちの立ち居振る舞いが、まるでブロードウェイの役者のようで、たいへん素晴らしかった。

会議の参加者から、一度、オーダーを聞いたら、それをずっと覚えており、メンバーの会話を中断させることなく、料理を運んでくれる。また、参加者の様子を常にうかがい、絶妙なタイミングで料理の説明をしたり、飲みもののお代わりを持ってきてくれるなど、そのホスピタリティは感動の連続だった。この、「決してお客の邪魔にならないけれど、必要とする時にそこにあるサービス」のことを、高野さんは、「気配を消しながらも、存在感があるサービス」と呼んでいる、というものです。

私は、菊原さんと一緒にゴルフをプレーしたAさんと、高野さんがプラザホテルで見たウエイターは、人との接し方が同じだと思っています。そして、その理由の詳細は、文字数の兼ね合いで割愛しますが、会社経営者も、「気配を消しながらも存在感があるサービス」を提供するような立ち居振る舞いで、従業員たちに接することが理想だと、私は思っています。なぜなら、普段は従業員たちが各々の能力を十分に発揮できるよう、社長の存在を意識することなく、自由に活動していながらも、必要があるときは、経営者がすっと手を差し伸べる来てくれるという状態の会社は、きっと、業績もよいと、私は考えているからです。

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