鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

先延ばしのリスク

先日、岡山県倉敷市にある真言宗の寺院、

高蔵寺の住職の天野高雄さんのメールマガ

ジンを読みました。


「人生において最高の幸せとは、『死ぬ時

期がわからない』ということです。


誰にも長生きできる可能性もあるし、今日

を楽しむ権利もありますが、『明日がある

さ』と、目の前のことから逃げてしまう弱

さがあります。


ただし、いつ死ぬかわからないことに怯え

るのではなく、その一瞬をどう過ごすかに

よって、その瞬間から人生を謳歌出来るよ

うになります」


この天野さんのご指摘は、米アップル社創

業者のひとりである、スティーブ・ジョブ

スが、「もし、きょうが自分の人生最後の

日だとしたら、きょうやる予定のことを、

私は、本当にやりたいだろうか?」と、毎

朝、鏡を見ながら自分に問いかけていたこ

とと、同じだと私は考えています。


ただ、今回、私が天野さんのメールマガジ

ンを引用したのは、別の点に注目したから

です。


すなわち、人には、「明日があるさ」と、

目の前のことから逃げてしまう弱さがある

というところです。


私も、その弱い人間のうちのひとりで、今

まで、何百回も、それを繰り返してきまし

た。


さらに、もうひとつ付け加えたいことは、

「先延ばし」することにリスクがないと考

えている人が多いと、私は考えています。


先延ばしすることのリスクとは、きょう、

できなかったことが、明日は実行できると

は限らないということです。


先伸ばしたことを、翌日に実行しようとし

ていたら、その時点で緊急の用件ができ、

翌日も実行できなくなってしまう可能性が

あります。


そして、しまいには、いつになっても実行

されないままになってしまうかもしれない

ということです。


また、最悪の場合は、きょうやろうとして

いたことを、翌日にやろうと先延ばしした

ら、実は、きょうが人生最後の日にだった

というこもあるかもしれません。


ただ、実際には、そのような例は少ないの

で、多くの場合、先延ばししたことは、時

間がかかってでも、実行されることが多い

と思います。


そこで、前述のように、「先延ばし」する

ことにリスクがないと考えている人が多く

なるのだろうと、私は考えています。


ただ、そういう人の考え方は、「無作為の

作為」と考え方が似ていると、私は思って

います。


すなわち、「何もしなかったことについて

責任を負うことはない」と考えている人は

少なくないようですが、実は、「何もしな

かったことに責任がある」ということもあ

ります。


もちろん、何かをすれば、その結果に関し

ての責任(または、よい意味での報い)は

あります。


だからといって、何もしなかったから、責

任はないということにはなりません。


同様に、きょうやれなかったことを、明日

に延ばした場合、物理的に今日中にできな

いということもありますが、そのことも、

リスクがともないます。


ここまで述べて来たことは、「きょうやれ

ることは、きょうやるべきだ」と、私が主

張しようとしているように受け止められる

かもしれません。


しかし、私が伝えたかったことは、計画し

ていたこととはいえ、実際にやってみて初

めてわかることもあり、現実的には、計画

通りにはならないことも、大いにあり得る

ので、絶対に先延ばししてはならないとい

うことではありません。


ただ、先延ばしすることに「も」リスクが

あるという認識を持つことが大切だという

ことです。


もちろん、先延ばししないことに「も」リ

スクがあります。


ビジネスにおいては、右に行く判断をして

も、左に行く判断をしても、リスクは避け

ることはできません。


しかし、先延ばしにはリスクがないと考え

てしまうことは、安易な先延ばしをするこ

とにつながっていると、私は、感じていま

す。


人は、どうしても、自分への責任を回避し

ようとする心理が働きます。


そこで、十分に気をつけていないと、安易

な方法を選択してしまいがちです。


そこで、リスクは避けようとするのではな

く、どのような選択がリスクが最小化でき

るかという考え方をすべきだと思います。


リスクは、「0」にはできないものであっ

て、最小化しかできません。


この違いを認識しているだけでも、ビジネ

ス上の判断の結果に、大きな違いが出てく

ると思います。

 

 

 

 

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