鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

鼓腹撃壌

経営コンサルタントの山岡雄己さんが、山

岡さんのブログで、社長の経営に臨む姿勢

について書いておられました。


(ご参考→ https://bit.ly/2vWhMhJ


具体的には、「中国の伝統的な思想では、

名君主はその存在すら民衆に感じさせず、

民衆に『俺たちが頑張ってるから、この国

はもっている』と思わせるのが最良とされ

ている。


これを、会社経営にあてはめて考えると、

ダメな経営者は、能力がなくて従業員の信

頼を勝ち得ない一方で、良い経営者はバリ

バリと働き、従業員を牽引して一体感を醸

成する。


そして、従業員たちに、『この会社は俺た

ちがいないと回らない』と感じてもらい、

自主的・自律的に活動ができるような場を

作っている」というものです。


山岡さんのいう、「中国の伝統的な思想」

は、山岡さんに、直接、確認はしていませ

んが、恐らく、鼓腹撃壌の考え方を指して

いるものと思います。


鼓腹撃壌についても、私が説明するまでも

ありませんが、中国の神話伝説時代の帝の

ひとりである堯(ぎょう)が、自らの治世

の善し悪しを確かめるために、忍びで市井

に赴いたときに見た、老人が腹を叩き、地

面を踏み鳴らしながら楽しそうに歌ってい

る様子を指して、鼓腹撃壌と言われている

ようです。


このとき、老人が歌っていた歌とは、「日

が昇れば仕事をし、日が沈んだら休む。


井戸を掘っては水を飲み、畑を耕しては食

事をする。


帝の力など、どうして私と関わりがあるの

だろうか、いやない」というもので、帝の

治世をまったく意識していないものなので

すが、帝自身は、それに満足したというも

のです。


だからといって、私は、大上段に構えて、

「中小企業経営者も、堯の治世のような経

営を目指すべき」と、述べるつもりはあり

ません。


(その前に、自分自身も、それができてい

ません)


ただ、私が山岡さんのブログを引用した理

由は、堯の治世の市井の人たちは、帝がど

ういった政治をしているのか、意識してい

ないというところは、注目すべきだと思っ

たからです。


日本の会社の多くは、経営者や管理者が、

部下にたくさんの指示を慌ただしく出しな

がら、毎日、仕事と格闘しています。


それでもなかなか仕事が終わらないことか

ら、「働き方改革」ということが叫ばれる

ようになりました。


でも、国民が自ら働き、それで国が治まっ

ていた堯の治世の中国のように、会社も、

従業員の方が自律的に動いて、それで、事

業もうまくいけば、理想的ですよね。


実は、私は、そのような会社の経営者の方

に、何人か会ったことがあります。


そのような経営者の方たちは、どの人も、

「うちの会社は、普段はおれが会社にいな

い方がいいんだょ」と、自慢とも謙遜とも

とれるようなことを口にします。


では、どうやったらそのような会社にする

ことができるのかということについては、

別の機会に述べたいと思いますが、私は、

自ら経営する会社を、そのような会社にす

ることが、経営者の最も大切な役割である

と思っています。


一方で、失礼ながら、「自分は、会社では

四番打者であり、かつ、エースピッチャー

としてプレーできなければ気がすまない」

と考えている経営者の方は、少なくないと

思います。


そう考えている経営者の方は、もし、従業

員の方から、「うちの会社は、社長がいる

のかいないのかわからない」と言われたと

したら、とても悔しがるのではないでしょ

うか?


でも、経営者の方がそう考えている間は、

いつまでたっても、会社は鼓腹撃壌のよう

な状態にはならないでしょう。

 

 

 

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